小林: 調査で面白いと思った結果の1つに、年下の同僚や上司と「仲が良い」だけの年上部下が一定数いる、ということです。彼らは飲み会の場では活躍しています。しかし、社内でただ仲良くしているだけで、仕事のパフォーマンスには結びついていないという結果が、データ上でも企業の人事の話からも浮かび上がりました。
プライベートの交流自体は大事です。しかし、仕事上の交流、特に(年下の同僚や上司の)相談に乗ってあげるべきです。自分では分からなくても、誰が(答えを)知っているか教えてあげることでしょう。これはベテラン社員にしかできないことですから。
――年上部下に対して、上司が仕事で「どうやる気にさせられるか」が重要なポイントですね。
小林: 実は、若い社員向けには有効だった「昇給」や「昇格」といった“アメとムチ”は、実は中年以上の世代には使えないものです。ポストで(彼らの努力に)報えなくなるからです。でも活躍してもらうには昇給・昇進だけでなく、「内的報酬」をいかに与えて動機付けるかが重要になってきます。
――例えばどんな動機付けができるのでしょうか。
小林: 処方箋として私たちが提示しているのが、リーダーが自分らしさをもっと出す「オーセンティック・リーダーシップ」というものです。リーダーが、自分の強みも弱みも部下に対して見せていく。
立場が逆転して、(年下上司が)リーダーらしくあろうと(年上部下を)引っ張ろうとすると、逆に難しくなるものです。人には得意なことも苦手な分野もある。そこで、むしろ(年上部下に)「ここは先輩の知見が必要です」などと相談してしまう。相談されて嫌がる人はいないでしょう。(年上部下も)自分は「ここで貢献できるのだ」と、役職や昇給だけでない実感が得られると思います。
年上部下に対して年下上司は、フォーマルな上下関係というよりは、ある種のリスペクトを持って接するのが良いのでしょう。「自分が(年上部下を)引っ張る」というよりは、「分からないことを教えてください」などと、参謀役になってもらうイメージです。
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