さらに、その後の研究で、他者との関係を「広さ」で捉え、HOPEとの関連を検討したところ、「喜びや悲しみを共にできる関係性が、家族だけではなく、医師・介護者などの医療関係者、友人・知人など、外部に広がるほどHOPEが高い」ことも分かりました。
件の番組の中で「治療優先」と言い切った人事部長や、「体も心も含めてイキイキと生きられるかを考えた」と語った番組プロデューサーも、恩田アナがHOPEを見つけるきっかけになったに違いありません。そして、こういった意見交換ができる成熟した組織風土が人を“生かす”のです。
今回の番組が単なる「感動物語」ではなく、仕事が「生きる力」にもたらす意味、そして、がんと仕事と両立させることの意義を議論するきっかけになればいいと心から期待しています。
ちなみに……、1年前の中京テレビの定例会見の資料には、以下のようなことが書かれていました。
新・社会貢献活動の立ち上げ
社内に女性中心のプロジェクトを立ち上げ。乳がんについて正しい知識を伝えると共に40代以上の女性に検診を呼びかけることで、早期発見を促し、乳がんで悲しむ人を減らすことを目指す。
1人の社員の問題を会社の問題と捉え、社会の問題として広めていく――。とっても、イイです!
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。
研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)、『面倒くさい女たち』(中公新書ラクレ)
2017年発売の『他人をバカにしたがる男たち』で解説した「ジジイの壁」の背景となる「会社員という病」に迫ります。
“ジジイ”の必殺技は「足を引っぱる」こと。公の場で「彼女の発言を補足しますと……」と口を挟んでしまう“面目つぶし”、「私は指示したのですが○○が動かなくて……」と相手を悪者にする“責任逃れ落とし”、他人に関する必要のない情報を上司に伝える“アピつぶし”、そして“学歴落とし”や“悪評流し”――。
不毛な言動に精を出して「ジジイ化」してしまう人たちのジレンマと不安の正体について解説します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング