連載
» 2019年06月14日 07時00分 公開

河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」:パタハラ回避で50代が転勤? カネカ騒動が示した“辞令と家族”のリアル (1/4)

カネカの「パタハラ」騒動は、SNSに書き込んだ側も炎上するなど、さまざまな見方が出ている。一方、本来は個人の成長にもつながる「転勤」がネガティブに捉えられた。育児だけでなく「介護」とも密接に関わる転勤。そのメリットを生かす経営が求められる。

[河合薫,ITmedia]

 日本有数の化学メーカー、カネカの元社員の妻のTwitter投稿で広がった「パタハラ(パタニティ・ハラスメント)」騒動。2週間近くがたち、事態は微妙な方向に進んでいます。

 妻のアカウントの過去の書き込みに「夫の起業準備」をうかがわせる記述があり、逆炎上しているのです。

 事の発端がTwitterですし、カネカ側の対応もWebサイトで展開されるなど、全てがネット上の情報なので、まったくもってわけが分かりません。が、ある意味、“これぞSNS”なのかもしれません。

 事実は一つしかありませんが、受け手が変わり視点が違えば、自ずと真実は様変わりします。人は観念の生き物なので、見えるものを見るのではなく、見たいものを見る。それは「人間の業」でもあります。

photo 「転勤」に関連するSNSへの書き込みと企業の対応が炎上しているが……(写真提供:ゲッティイメージズ)

 ただでさえSNS上の情報は、事実の「一部」が切り取られたものですから、受け止め方はどうにでもなる。さらに、“そこに書かれた言葉”に皆が一斉に反応し、瞬間湯沸かし器的に真実がまるで一つかのごとく広がっていきがちです。

 でも、人が人である限り、誰が正しくて誰が間違いということはなく、人の数だけ「真実」は存在するのです。

 ただし、「事実」は一つ。今回の事例では「ある男性会社員が育児休暇を取り、その直後に転勤を命じられ、退職した」という事象はまぎれもない事実です。それ以上でもそれ以下でもありません。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.