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日本企業は社員の「忠誠心」に甘えている 働きがいのある会社、コンカーのトップが警鐘人材流出企業にならないためにすべきこと(3/7 ページ)

» 2019年11月12日 08時00分 公開
[後藤祥子ITmedia]

失敗を糧に「働きがいのある会社」づくりに本腰

三村: 企業カルチャーの有無による「成功」と「失敗」を経験して、その重要性が骨身にしみて分かったので、一度、原点に立ち返ることにしたんです。

 「ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則」(日経BP社刊)という書籍の中に、「誰をバスに乗せるか――最初に人を選び、その後に目標を選ぶ」というのがあって、これを実践しようと。つまり、文化が合わない人には、バスを降りてもらおうと決断しました。

 文化が合わなかった社員には、「今は縁があって一緒に働いているけれど、長い目で見ると恐らく価値観や方向性の問題で、共に働き続けるのは難しいのではないか。これは能力の問題ではなくて……」というようなことを、じっくり話しましたね。

 人がいなくなるので短期的には戦力が落ちますが、最初の大仕事であるローンチイベントも峠を越えて、私自身にも少し余裕が出てきたので、「ここで人心を一新しよう」と決意してメスを入れました。

 そこで始めたのが、「社員合宿」です。会社から離れて、もやもやしている課題をテーブルに出し、目の前の課題や将来のミッション、ビジョンをみんなで共有して、その達成に向けて解かなきゃいけない課題を考えよう――という取り組みを始めたんです。

リフレッシュルームのディスプレイには合宿の写真やミッション、ビジョンが常に表示されている

 最初の合宿で2つの目標を社員と共有しました。1つは、国別のベンチマークで、「本社のある米国以外で世界トップになる」こと。もう1つは、「IT業界で最も働きがいのある会社になる」ことです。

 これは「外面」という業績でナンバーワンを目指し、「内面的」な企業カルチャーや働きがいの観点でナンバーワンを目指せば、これが循環して相乗効果で企業としての価値が上がっていくだろう、という発想です。

 これを契機に、会社の雰囲気も良くなりましたし、社員が主体的に動くようになりましたね。

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