世界で最も稼ぐ女性アスリート、大坂なおみ選手にスポンサーが苦悩する事情世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)

» 2021年09月09日 08時00分 公開
[山田敏弘ITmedia]

トップ50のアスリートの収入を合算すると

 またバスケットボール選手も高収入で、NBA(米プロバスケットボール協会)の選手が13人もランクインしている。トップはロサンゼルス・レイカーズのレブロン・ジェームズ選手で、年収は9650万ドル。そのうち67.4%はチームからの年俸、残りはスポンサーなどからの収入である。

 さらにランキングでは、F1ドライバー(ルイス・ハミルトン選手、マックス・フェルスタッペン選手)や、ゴルフ選手(タイガー・ウッズ選手、フィル・ミケルソン選手)、プロボクサー(サウル・アルバレス選手)が入っている。

 50人すべてのアスリートの収入を足すと、280億ドル(約3兆円)ほどになる。また50人の平均年齢は31歳。スポーツ業界ではとんでもない金が動いているし、日本の大手企業を見ても、世界各地で活躍しているアスリートにスポンサーとして投資している。アスリートはスポンサードしやすい対象ということだろう。

企業から見たスポンサー契約の危うさとは

 ただアスリートはいつ負傷するかもしれないし、コンディションなどの要素によって一気に人気やスポンサーを失う可能性がある。約6000万ドルの年収のうち、90%以上がスポンサーなどプレー以外からの収入になっている大坂なおみ選手も、全仏オープンでのメディア会見拒否や今回の観客に向かってボールを打ち込む姿などを見るにつけ、一気にすべてを失いかねない危うさがある。

 企業にとっても、SNSの普及などによってスポーツ選手がアピールできる時代には、エンドースメント(スポンサー料を支払い企業の商品を使用する契約)などはある意味で不安定な部分もある。人種差別的な言葉などがポロッと出てしまうようなことがあれば、一瞬でスポンサーが去りかねない。

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