脱東芝の「レグザ」、国内トップシェア争いまでの復活劇:家電メーカー進化論(5/9 ページ)
さらハイセンスがテレビを主力にするメーカーだったため、映像に対する投資を惜しみなく行う点も大きく奏功した。それを象徴するのが、CES 2022で発表した新開発の映像プロセッサ・レグザエンジン「ZR α」だ。本村さんによると、この映像プロセッサの開発には3年以上の期間と数十億円のコストが掛かっているという。
「このエンジンの開発は、ハイセンスグループに入ってすぐに始まりました。通常ハードウェアエンジンは5、6年に1度作り直して、ファームウェアで進化させていくのですが、今回はものすごい投資をしていて、かつての東芝では無理だったろうと思います」(本村さん)
7年ぶりとなったCES 2022での展示。映像プロセッサ・レグザエンジン「ZR α」は独立したディープニューラルネットワークを活用したAIエンジンを内蔵し、「立体感復元超解像」や「AIフェイストーン再現技術」「AIネット動画高画質アルゴリズム」などの高画質化を実現している
しかし日本市場では、ハイセンス・ジャパンもテレビを販売している。国内シェアは5位で、存在は決して小さくない。グループ内競合やカニバリは発生していないのか。ハイセンス・ジャパンとの関係に関して、本村氏は「特に棲(す)み分けなども意識していない」と語る。
「執務場所も同じフロアなので、休み時間など従業員同士のプライベートは仲良くやっていますが、業務上では来年販売するラインアップなどはお互い知りませんし、『これを出すから、出さないで』というようなことはありません。そこは普通に競争しています」(本村さん)
- 3年間で大改革の「タイガー」、きっかけは元ソニーの女性役員
1923年創業で、ステンレスボトルや炊飯器などの多くの製品を手掛けるタイガー魔法瓶。2023年に100周年を控えた18年からは、元ソニーでVAIO事業を立ち上げるなどした浅見彰子氏が、既存事業のほか構造改革や未来のビジョンづくりに取り組む。タイガーが抱えていた課題と施策、そして100周年後の展望などを聞いた。
- プロダクトアウトの罠にハマった「象印」のリカバリー戦略
電気炊飯器市場でトップシェアを誇る象印マホービンは、2018年に100周年を迎えた。高級炊飯器のヒットとインバウンド需要に押され、10年ごろから右肩上がりで売り上げを伸ばしたが、16年をピークに減少。そこへコロナ禍が発生した。この長引く苦境をどう乗り越えるのか。取締役の宇和政男氏に話を聞いた。
- パナソニック“次の100年”のキーパーソン、Shiftall 岩佐CEOに聞く(前編)
パナソニックを2008年に退社して、Cerevoを起業した岩佐琢磨氏。しかし18年設立の子会社Shiftallは、全株式をパナソニックへ売却し100%子会社となった。パナソニック内部へ戻った目的、現在の役割に加え、家電メーカーが生き残っていくために必要な取り組みなどについて、前後編にてお届けする。
- AV機器メーカーが電気圧力鍋を開発、大ヒットの秘密は「なんでもできる」の廃止
テレビメーカーであるピクセラの子会社・A-Stageが、ライフスタイルブランド「Re・De(リデ)」を立ち上げ初の製品となる電気圧力鍋を発売。2年間の販売目標を8カ月で達成する大ヒットとなった。ピクセラはなぜ、畑違いの調理家電をヒットさせられたのか。A-Stage社長とピクセラ副社長を兼任する藤岡毅氏に聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.