ドムドムハンバーガー驚異の復活 風向きを変えた「3つの出来事」あの店は今(3/4 ページ)

» 2022年08月25日 07時00分 公開
[秋山未里ITmedia]

マスクに長蛇の列も どむぞうくんのアパレルコラボ

 3つ目はアパレルブランドとのコラボレーションだ。初めにFRAPBOIS(フラボア)とのコラボの話があがった際は、「これもまた、社内の反対がすごく多かった」という。

 「社内では『なぜハンバーガー屋が洋服を作らなければならないのか?』という反応でした。ただ私は、これまでとは違う新しいお客さまにコンタクトできるという点と、私自身(ドムドムハンバーガーのマスコットキャラクターの)どむぞうくんが『すごくかわいい!』と思っていましたので、どむぞうくんがどんな風に世の中に認知していけるかを試したかったので、挑戦してみることにしました」と藤崎氏は振り返る。

 フラボアからは、Tシャツ、ワンピース、ジャケット、スカート、帽子、バック、靴、靴下……と多くのコラボ商品を発売。大きく話題になった結果、BEAMS(ビームス)やniko and ...(ニコアンド)、JUNRed(ジュンレッド)といった名だたるアパレルブランドや、LOFT(ロフト)からのグッズ展開の依頼など、さまざまなコラボのオファーが来るようになった。

フラボアのコラボ商品の一例

 そんなアパレル商品群の中でも、特に売れたのがマスクのシリーズだ。

 この商品は当初、スタッフのために作られたものだった。新型コロナウイルスが猛威を振るい始めた20年春、街のスーパー内にある店舗が多いドムドムハンバーガーは緊急事態宣言下でも営業している店舗が多かった。そんな中でスタッフがマスクの確保に困っていたことと、厳しい状況下で頑張るスタッフの心が少しでも明るくなるようにとの思いもあって、どむぞうくんが付いたマスクを製造し、各店舗に配布した。

 さらに、来店するお客さまもマスク不足に悩んでいるだろう――と考え、レジ横でマスクの発売を始めた。当時はマスク不足に対する社会貢献という認識だったため、350円という安価で発売のプレスリリースやSNS告知も出さず、ひっそりと販売していた。

 しかし、購入者がSNSにアップしたところ、たちまち話題に。店舗に長蛇の列を作る人気商品となった。ただし、密を避けなくてはならないコロナ禍だ。店舗での販売継続は一時中止したものの、問い合わせが絶えずECサイトを急きょ10日で立ち上げた。

マスクの着用画像

 その後もECサイトの改良などを続け、マスクの販売数は累計17万枚を超えた。また、ECサイト経由の売り上げはマスクの勢いが高かった20年度で全体の10%程度、現在も売り上げの5〜6%を占める重要な事業の一つとなっている。

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