日本の賃金はこの20年間、上がっていない──といわれていますが、実際には上がらないどころか、下がっています。
内閣府の分析によると、バブル崩壊後の1994年から2019年までの25年間で年収の中央値が「550万円から372万円へ」と著しく減少しています。
年齢別では、“働き盛り”である30代後半〜50代前半までの世帯の年収が激減。最も減少幅が大きかった45〜54歳では、1994年の826万円から、195万円も下がっていたのです。
25〜34歳:470万→429万円(▲41万円)
35〜44歳:657万→565万円(▲92万円)
45〜54歳:826万→631万円(▲195万円)
55〜64歳:560万→532万円(▲28万円)
65歳以上: 50万→38万円(▲12万円)
賃金が上がらないのは、「個人」の問題ではなく、払う方、すなわち会社側の問題です。なのに、「賃金が下がる→人生設計が狂う→子の教育費が負担になる→子の負担になる」という、世代を超えた貧困の連鎖が引き起こされている。
しかも、21年度の日本企業の内部留保の額は、516兆4750億円で過去最高を記録しています。「たくさんためこんでいるのに賃金に反映されていない!」という意見に対し、「内部留保は必要なものだ!」と反論する識者も目立ちます。
しかし、「三方よし」こそが生産性向上の起点です。経営者には「賃上げをなぜ、するのか? どうすればできるのか?」と筋道をたてて考えていただきたいです。
そして、この異常な雇用環境を変えるために重要なことを記します。
繰り返し書いている通り、この3点を徹底してほしいです。
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。
研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。フィールドワークとして600人超のビジネスマンをインタビュー。著書に『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアシリーズ)など。近著は『残念な職場 53の研究が明かすヤバい真実』(PHP新書)、『面倒くさい女たち』(中公新書ラクレ)、『他人の足を引っぱる男たち』(日経プレミアシリーズ)、『定年後からの孤独入門』(SB新書)、『コロナショックと昭和おじさん社会』(日経プレミアシリーズ)『THE HOPE 50歳はどこへ消えた? 半径3メートルの幸福論』(プレジデント社)がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング