富士フイルムの主力機「FinePix F」シリーズの新作として「FinePix F300EXR」が登場した。昨年発売した「FinePix F200EXR」の後継機にあたり、デザインを大きく変更したほか、CCDやレンズ、液晶モニタなど主要な装備を一新。中でも、画素の中にAFセンサーを組み込んだ新開発「スーパーCCDハニカムEXR」の搭載が注目を集めている。なお、本稿でテストした製品は最終製品ではないことをお断りしておく。
まず、外観から見てみよう。ボディは従来のFシリーズにはあまり見られなかった、丸みを帯びたデザインだ。グリップ部やレンズの付け根、ダイヤルやボタンの周辺部などがゆるやかな曲面を描くように膨らんでいる。外装は金属製で、ボディ前面の指があたる部分には滑り止めのラバーを配置。カラーリングはレンズ部分をシルバー、それ以外を光沢感のあるブラックでまとめている。やや派手めのラウンドフォルムは好みが分かれるが、全体から漂う雰囲気は精かんで、適度な高級感もある。
ボディの奥行きは32.6ミリ(最薄部22.9ミリ)で、本体重量は195グラム(撮影時215グラム)。前作FinePix F200EXRに比べると少し大きく重くなっているが、それでも胸ポケットに入れて持ち運べるサイズと重量である。初めて手にして驚いたのは、この薄型軽量ボディでありながら、光学15倍という高倍率のズームを備えること。レンズの焦点距離は、35ミリ換算で24〜360ミリ相当にもなる。
電源ボタンを押すと素早くレンズがせり出し、起動画面が表示された後、約2.6秒で撮影スタンバイになる。と同時に、内蔵ストロボが自動的にポップアップする。このストロボは、電源オンで撮影モードの際は、使用/非使用を問わずに常に飛び出た状態になる。
最大の特徴は、同社独自の撮像素子「スーパーCCDハニカムEXR」のピクセル内にAF用の「位相差画素」を配置したこと。これまでの多くのコンパクトデジカメは、レンズを少しずつ動かしながら、コントラストが最も高い位置を探してピントを合わせる「コントラスト検出AF」を採用していた。これに対してFinePix F300EXRでは、CCD内に組み込まれた一対の位相差画素によって光学像のズレを検知して距離を算出する「位相差検出AF」を実現。この2つのAF方式がシーンに応じて自動的に切り替わるようになっている。
具体的には、明るいシーンや望遠での撮影時には位相差AFが、暗いシーンでの撮影や顔検出を利用する場合はコントラストAFがそれぞれ作動する。操作自体はこれまでのコンパクトデジカメと変わらず、シャッターボタンの半押しによってAFがスタートする。
実際に試した印象は、一眼レフのAFには及ばないものの、コンパクトデジカメのAFとしては最速レベルだと感じられた。特に、高倍率ズームを搭載した従来のコンパクトデジカメではズームの望遠側でAFにストレスを覚えることが多かったが、本機ではまずまず実用的なスピードでピントが合う。
ただし、室内や夕方、夜間といった薄暗いシーンでは位相差AFは作動せず、従来通りのコントラストAFとなり、AFスピードは低下する。このあたりは今後の課題だろう。
AFモードの設定としては、画面中央でピントを合わせる「センター固定」のほか、AF測距点が自動で選ばれる「オートエリア」、シャッターを押す前から常にピントを合わせ続ける「コンティニュアス」、特定の被写体の動きに応じて測距点が動く「自動追尾」に対応。顔認識AFの応用として、登録した顔を優先認識する「個人認識」や、犬や猫の顔にピントを合わせる「ペット検出」、正面を向いた顔を検出すると自動的にシャッターが切れる「ベビーオートシャッター」なども備える。
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