サーバ統合は進むか? 日本IBM、POWER5 1.9GHzを搭載したサーバを披露

日本アイ・ビー・エムは7月14日、都内で発表会を行い、同社のPOWER5 1.9GHzを初めて搭載したUNIX/Linuxサーバ「IBM eServep5」の中型機3モデルを披露した。モデル570のTPC-Cの値は809,144tpmCにも達するという。

» 2004年07月14日 19時53分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 日本アイ・ビー・エムは7月14日、都内で発表会を行い、同社のPOWER5 1.9GHzを初めて搭載したUNIX/Linuxサーバ「IBM eServer p5」の中型機3モデルを披露した。同製品群は8月31日から出荷開始を予定している。なお、新たに名称が「IBM eServer pSeries」から「IBM eServer p5」に変更されている。

モデル570にはPOWER5 1.9GHzが16個搭載可能

 発表されたのは、エントリー・モデルの520(最大2way)と、ミッドレンジ・モデルの550(最大4way)、同570(最大16way、4Uラックマウント型)。このうち、POWER5 1.9GHzを搭載可能なモデルは570となる。

発表されたeServer p5。モデル520と550はラックマウント型のほかにも、デスクサイド型が用意される。必要なときだけ起動し、使用した分だけを後で支払う形のオン/オフ・キャパシティー・オンデマンド(On/Off CoD)も提供される。


 動作OSは、AIX 5L V5.2/V5.3、Linux(SUSE LINUX Enterprise Server 9/Red Hat Enterprise Linux AS 3は9月以降に対応)。将来的にはi5/OSもプラットフォームとして選択可能となる予定。

 POWER5は、POWERアーキテクチャを基盤とし、SOI(Silicon-on-Insulator)や銅配線技術などの製造技術や最新のマルチスレッド技術を融合して開発された64ビットプロセッサ。チップは130ナノメートルプロセスで製造されており、シリコンの各片に2つのプロセッシングユニットを持つ。従来のPower4と異なるのは、SMT(Simultaneous Multi-Threading)と呼ばれる技術を実装している部分だ。同技術を実装したことで、「スレッド」と呼ばれる命令シーケンスを2つ同時に実行可能となり、大幅な性能向上につなげている。ただし、SMTの恩恵を享受するにはAIXバージョン5.3が必要になるという。

高いパフォーマンスと仮想化技術で乗り換え需要を喚起

 同製品の高い性能を示すものとして同社は、7月12日にTPCへ提出したというTPC-Cの値を紹介した。これによると、モデル570(16way)の値は、809,144tpmC。この値は、RISCプロセッサを64個搭載した他社UNIXサーバと比べると、1/4のCPU数で約1.5倍のパフォーマンスを発揮していることになる。また、同じ16個のプロセッサを搭載したIA-64サーバと比較しても約2.5倍のパフォーマンスが得られるという。

 同製品が照準を合わせているのは、主に他社のメインフレームやUNIXサーバーからの乗り換えとなる。ここで売りとするのは、上記のように少ないCPU数で高いパフォーマンスが得られることだけではない。ITインフラストラクチャーの最適化のために、異機種混在環境を一元化する仮想化技術「仮想化エンジン」も重要な要素となる。こうした仮想化技術はHyperVisorと呼ばれる元々メインフレーム製品用に使われてきた技術を転用したものだ。

 POWER5では、「マイクロ・パーティショニング」技術によって、1CPU当たり10個の動的論理区画(LPAR)を作成できる。つまり、1つのCPUで10個の異なるOSを仮想的に稼働させることが可能となるのだ。

 作成されたマイクロ・パーティションに対しては、「共用プロセッサ・プール」技術を使うことで、動的にCPUリソースを振り分けたり、、「ダイナミックLPAR」と呼ばれる技術により、システム資源の割り当て変更を動的に行うことが可能となっている。

 もちろん、物理ディスクや通信アダプタなどのI/Oリソースも、「バーチャル I/O」と呼ばれる技術で仮想化し、パーティション間で共有できるため、搭載しているI/Oスロットや物理デバイスの数以上のパーティションを作成・構成できる。

 高い性能を持つサーバ上で、「マイクロ・パーティショニング」技術を使うことで、リソースを無駄なく使うことが可能となり、その結果、ハードウェアへの過剰な投資を抑制し、企業内のサーバをある程度統合できる可能性が生まれてくるわけだ。

 合わせて、他社製UNIXサーバーからの移行事業については、リース残の解消やシステム移行費用として最大2000万円(最大受注金額の10%以内)まで補填するプログラムを提供することも発表されている。

 最小構成時の価格は価格はそれぞれ次のとおり。

p5 520 (1.65GHz 2-way,メモリ1Gバイト,HDD36.4Gバイト) 190万6,400円

p5 550 (1.65GHz 2-way,メモリ1Gバイト,HDD36.4Gバイト) 350万9,300円

p5 570 (1.5GHz 2-way,メモリ2Gバイト,HDD36.4Gバイト)  394万1,100円

p5 570 (1.65GHz 2-way,メモリ2Gバイト,HDD36.4Gバイト) 641万7,700円

p5 570 (1.9GHz 2-way,メモリ2Gバイト,HDD36.4Gバイト) 1260万3,300円

 なお、上記の価格はAIXのライセンス料金とコンソールなどのオプションの価格、およびマイクロ・パーティショングなどで使用するAdvanced POWEVirtualizationオプションの価格は含まれていない。

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