「Digital Officeこそ次のビッグウェーブ」とIntel幹部(2/2 ページ)

» 2004年09月09日 23時57分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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技術論よりもビジョン

 スー氏は例として“エンベデッドIT”というキーワードを挙げた。聞き慣れない言葉だが「ITの人件費にかけている投資を、管理の自動化に振り分けたらどうだろう。人間が行っている管理業務の多くは自動化できる」と語っていることから、オートノミックコンピューティングと同様の意味と考えられる。

 次に遠隔地でのチームワークを実現する技術に関しても、既存のビデオ、音声ストリーム技術やアプリケーション共有の技術などを用い、より密なコラボレーションを行うシステムの構築を提案している。ただし「より簡単でなければならない(スー氏)」というように、個々の要素技術よりも、簡単にチームの人間を招集し、インスタントにメディアリッチな電子会議を行えるかどうかが鍵となる。

 もっとも深刻なのは、データ量の爆発かもしれない。スー氏は「データはあるが、情報が足りない」と表現する。生のデータは、単なるデータにしか過ぎず、何らかのビジネス判断を行う材料にはなり得ない、というわけだ。

データの増加率はムーアの法則並み データの増加率はムーアの法則並み

 「今の世の中、あらゆる情報がデータに変換され、企業システムの中に溢れている。しかし、それをビジネス情報に変換しなければ、せっかうコストをかけて収集し、蓄積しても、ユーザーは意志決定の材料に使うことができない。データの掘り起こし、分析を行い、ユーザーが分かりやすい状態に加工して、はじめてビジネスに有効な情報となるのだ」

 最後のモビリティは、どんな場所からでもネットワークにアクセスできる環境を作るのはもちろんだが、ユーザーが透過的に情報へとリーチできなければならない。

異なる地域間でのコラボレーションが増加 インターネットの普及とグローバル化で異なる地域間でのコラボレーションが増加

 スー氏は「これらは個々の技術としてはすでに存在するものばかりだ。誰もが自動管理やチームコラボレーション、データマイニングなどの事を知っているだろう。しかし重要なことは、それらを組み合わせ、オフィス環境をどのように変化させていくことができるのか。そのビジョンを示すことだ」と話す。

 プロセッサベンダーのIntelがこうした提案を行うのは、来年の投入が予定されているデュアルコアプロセッサへの布石と言える。Intelはクライアントレベルでの情報分析、高度なデータビジュアライズなどをバックグラウンドで行いながら、通常業務を滞りなく進められるデスクトップPC環境を作るため、デュアルコアプロセッサが有効であるというシナリオを描こうとしているようだ。

 また、スー氏は、電子カンファレンスを行いながらエンジニアがCAD上で設計変更を行い、図面の承認を現場でもらうといったデモも行っている。メディアリッチなリアルタイムコラボレーションとエンジニアリング向けアプリケーションを滞りなく動かすには、デュアルコアは確かに有効だろう。

 もっとも、スー氏の指摘、Digital Officeというコンセプトに対する賛同者は多いだろうが、果たしてそれがデュアルコアのニーズへとつながっていくか否かは、現時点では予想がつきにくい。Digital Officeコンセプトは、確かに次の大きな波になるだろう。しかし、その波にIntelが乗れるかどうかにはまだ不透明感が残る。

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