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» 2004年10月12日 14時14分 UPDATE

“サービスを科学する”新しい学問、IBMが開拓中

サービスサイエンス学の初の講座1年以内に開講される見込みだが、この学問の博士号を取得するには「おそらくあと10年かかるだろう」とIBMの研究者は話している。(IDG)

[IDG Japan]
IDG

 パーデュー大学で米国初のコンピュータサイエンス学部が設置されてから40年、今、米国各地の大学でまったく新しい分野の研究が生まれつつあると、カリフォルニア州にあるIBMアルマデン研究センターの研究員らは語っている。彼らは、10年後くらいに、学生たちは「サービスサイエンス」という分野の博士号を取得し始めるかもしれないと考えている。

 この研究分野は、カリフォルニア大学バークレー校のヘンリー・チェスブロー教授の研究と、アルマデンセンターで2年前に結成された26名のチームによる取り組みから生まれたもので、最近、世界経済における重要性を増しつつあるとアルマデン研究センターのサービス研究担当ディレター、ジム・スポーラー氏は語った。

 現在、IBMの売上においてはサービスが50%以上を占めており、General Electric(GE)などの企業に至ってはその割合はさらに高いとスポーラー氏は先週サンフランシスコで開催されたWeb 2.0カンファレンスで述べた。「製造企業がサービス企業へと転進を図りつつある。製造セクターは縮小傾向にあり、サービスセクターは拡大傾向にある」と同氏。

 同氏は米国におけるサービス経済への移行を、20世紀の農業から工業への移り変わりになぞらえ、また新たに興ったサービス産業によって新しい研究分野がもたらされると語った。

 「私にとって興味深いことの1つは、仕事内容の進化だ」と同氏は話し、サービス職の変化に関する研究を取り上げた。例えば1970年代のコールセンターは、技術の専門家をスタッフとして置いていたが、今日のコールセンタースタッフはコンピュータベースのナレッジシステムを使い、スキルレベルは以前ほど高くない。そしてアウトソーシングと音声認識システムを採用するトレンドが、コールセンター体験を変革し続けている。

 「仕事の内容がこの進化パターンに沿って変化しているように見える」とスポーラー氏。

 サービスサイエンスの背景にある概念は、サービス産業研究に主眼を置いたカリキュラムを開発することにある――ちょうど20世紀半ばにコンピュータサイエンスが1つの研究分野として進化したように。

 IBMの研究員らは既にこの分野におけるいくつかの特許を出願中で、その1つが彼らが「Business Practices Alignment Method」と呼ぶテクニックだ。IBMの研究員サラ・モルトン・リーガー氏とマイク・アルマノが開発したこのテクニックは、IBMが2002年にPricewaterhouseCoopersのコンサルティング部門PwC Consultingを買収した後に進めた取り組みに基づいている。このテクニックは、2つの企業が合併した際、競合するビジネス慣行を取捨選択するための系統的な手法を説明するという。

 サービスサイエンスは、バークレー校、スタンフォード大学、ノースウェスタン大学、マサチューセッツ工科大学を含む大学の研究者たちの間で注目されつつあると、スポーラー氏は話した。

 同氏は、サービスサイエンス学の講座を開講する具体的な学校名を明らかにしなかったが、1年以内には最初の講座が開講されるだろうと語った。ただしサービスサイエンス課程として確立させるにはまだ時間がかかるもようで、「現実的な話として、博士号を取得するにはおそらくあと10年かかるだろう」と同氏はWeb 2.0講演後の取材で語った。

 IBMは11月17〜18日にアルマデン研究センターで開催されるサービスサイエンスのワークショップに、製造およびサービス企業、政府、学術機関の代表者を招待する。

 スポーラー氏は講演中に次のように語った。「この取り組みはまだ非常に早い段階にある。失敗に終わるかもしれないし、『コンピュータサイエンス』のように、いつか誰もが知るような新しい学問分野を確立できるかもしれない」

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