Exchange Serverを最適化するILMソリューションEMC Forum 2004レポート(2/2 ページ)

» 2004年11月12日 20時57分 公開
[宍戸周夫,ITmedia]
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マイクロソフトが提供する改善策

 こうした課題に対し、マイクロソフトは具体的な改善策を提案している。

 コミュニケーションに関するユーザビリティに関しては、Exchange Server 2003の標準クライアントである「Outlook」を十分活用することで多くの課題を解決できるという。これについて吉田氏は、デモンストレーションを交えながら、いくつかのケースを紹介した。

 出張先の支店にある共有PCからWebブラウザを使ってメールボックスにアクセスしたり、携帯電話やPDAからインターネットを経由してメールボックスにアクセスする例、さらにはVPNやRASなどの設定をしなくても、社内と同じメールクライアントで外出先からメールを閲覧できる例などがデモンストレーションされた。Outlookは、こうした機能を標準で提供しているのが大きな特徴だという。

 2つ目の課題は、セキュリティや安全性の確保である。

 「利便性を高めると、それに反比例した形でセキュリティ、安全性の課題が増してしまう。特に脅威からの防衛と情報漏えい対策が重要だ。それに対してもマイクロソフトは改善策を提供している」として、吉田氏が示したのは、なりすまし、改ざん、ウイルスなど外部からの攻撃への対策だった。

 「Active Directory(AD)による、セキュアで統一化された認証基盤の実現が上げられる。メールサーバとしてはExchangeがあり、そのほかにもさまざまなコミュニケーション系、コラボレーション系サーバがあるが、ユーザー認証をADに集中させることで、セキュアな認証基盤が実現できる」

 また、メールおよび電子データの漏えい対策およびアクセス制御については、Information Rights Managementによる情報漏えい対策が用意されている。「マイクロソフト製品はセキュリティに弱いというイメージがあった。だが、今もっとも投資しているのはセキュリティ。きちんとコミットし、機能をインプリしている」と吉田氏。

情報ライフサイクル管理(ILM)がExchangeの課題を解決

 後半では、EMCジャパン・ソリューションセンターの各務茂雄氏が「理想のコラボレーション環境を実現するILM」と題して、コラボレーション・アプリケーションに向けてILMの取り組みを紹介した。

 各務氏はまず「いくらストレージを最適化しても、エンドユーザーが適当にデータを保存していては意味がない。つまり、いくらインフラを最適化してもアプリケーションや業務が最適化されていないと意味がない。EMCは、こうした課題にチャレンジしていきたい」と、EMCの決意を表明。分かりやすい例として提起したのが、日常的なファイルをどこに保存しているかという課題だ。

 「業務が定義されていないから、好きなアプリケーションで好きなところに保存しているのがほとんど。インフラが正しく定義されていても、ここが定義されていないから問題が発生する。そこで重要な役割を果たすのがILMである。ILMは、必要な時に、必要なパフォーマンスで、必要なデータに、適切なセキュリティで、適切なコストでアクセスできるもの。つまり、必要な手段でエンドユーザーがデータにアクセスできるという考えが必要であり、インフラILMと同様に、アプリケーションILMと業務ILMが実在する」

 だが、Exchange Serverのメールをコントロールすることは不可能である。受信する量をコントロールすることはできないし、エンドユーザーが個人のフォルダに保存していくこともコントロールできない。メールは会社にとって大事であるデータであることに関わらず、制御しきれないのが現状といえる。

 「しかしExchange Serverは、企業にとって電話より重要なコミュニケーション・ツールであり、今までの電子メールシステムと違った形でコントロールする必要がある。それに対しEMCは、CLARiX/Symmetrixで止まらない迅速なシステム復旧を、そしてCenteraで法令順守の管理体制を提供することができる。これによって非常に堅牢な電子メールシステムが構築できる」

 これについて、EMCはすでにマイクロソフトとさまざまな検証作業を行っており、顧客の満足を得られるマイグレーションを提供できる体制が整っていることをアピールした。

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