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» 2004年11月18日 18時29分 UPDATE

寄稿近距離無線の新規格「ZigBee」の可能性 (1/3)

RFIDやBluetoothと共に、近距離無線技術として注目されているZigBeeを中心に、名古屋市で研究を進めるOTSLに、ZigBeeからRFID、Bluetooth、微弱無線など、近距離無線技術の概要について寄稿してもらった。

[波多野祥二ほか,OTSL]

 RFID、Bluetooth、UltraWideBand(UWD)、そして今回紹介するZigBeeも近距離無線技術と呼ばれるカテゴリに属している。これらの規格は、それぞれ、伝送速度、通信距離、ネットワーク・トポロジー、消費電力量などに特徴を持っており、ある場合は競合することもあるが、大枠では相互補完的な関係にあるものとみなすことができるものだ。

 ここでは、新たに導入されようとしているZigBeeの説明を中心に近距離無線の持つ可能性を前編後編に分けて紹介したい。

近距離無線技術の概要

 前編では、近距離無線の世界を簡単に見直しておきたい。下に示す図-1と図-2は、通信距離、消費電力、そして伝送能力から近距離無線技術の関係を示している。

pic.jpg 近距離無線技術のマッピング:通信距離と伝送能力(図1)

 図1は、各規格が「伝送路」としてどのような特徴を持っているかを示している。これに加えどのようなネットワーク・トポロジーをサポートしているかで、どのような用途で用いることができるかを見ることができる。

pic2.jpg 近距離無線技術のマッピング:消費電力と伝送能力(図2)

 図2は、近距離無線のノードがどのように実装されることになるのかを示している。消費電力が大きいものは外部からの電源供給が必要なため据え置き型が一般的な形となるだろう。消費電力が小さいものは、バッテリーあるいは電磁誘導による電力を利用することができ、たとえばセンサーやタグとしての利用も可能となってくる。

ZigBeeとは?

 ZigBeeは、Wireless Personal Area Network(WPAN)に分類される。その点、BluetoothやUWBの親戚筋にあたる存在だが、それらよりさらに、省電力、低コストを追及したものとなっている。ZigBeeは、アルカリ単3電池2本で、数カ月から2年間稼動可能とされており、コストも1〜2ドルとなることが期待されている。ZigBeeの仕様は、業界団体であるZigBeeアライアンスが策定作業を進めており、2004年第四四半期に仕様1.0がまとめられる予定である。

 ZigBeeは、物理層およびMAC副層(データリンク層の一部)にIEEE802.15.4を使用し、ネットワーク層以上をZigBeeアライアンスが仕様策定の作業を行っている。ZigBeeが使用する周波数帯は868MHz帯、915MHz帯、2.4GHz帯の3種類が定義されており、日本では2.4GHz帯(ISM帯)が利用可能となっている。

 データ通信の最大速度は250kbps(2.4GHz帯)、通信距離は10〜100m程度をカバーすることが目標となっている。スペクトラム拡散方式はDSSSであり、アクセス制御方式にCSMA/CAを使用するところは、IEEE802.11bとよく似ている。また変調方式は2.4GHz帯はO-QPSK、915/868MHz帯はBPSKを利用する。

 ZigBeeおよびIEEE802.15.4は、物理層に由来する低コストや省電力性といった特徴に加えて、最大約65000個のノードからなるネットワークをスター型、ツリー型、メッシュ型といったトポロジーで構成することができるという魅力を持つ(図3)。

pic3.jpg ZigBeeがサポートするネットワーク・トポロジー(図3)

 スター型は現在のBluetoothやIEEE802.11/Wi-Fiもサポートしているが、ZigBeeはこれらに加えてメッシュ型をサポートしている。メッシュ型のネットワークでは、データを中継するノードが許されており。これにより直接データ転送できないデバイスとの間でもデータ通信が可能となっている。

 このメッシュ型の無線ネットワークを利用することで、比較的規模の大きなネットワークを簡単に構築することが可能となる。一般に有線によるネットワークに比べ無線ネットワークはその設置の容易さが特徴となっているが、ZigBeeはこれに加えて大規模なネットワークを容易に構築することができる点を特徴としている。現在、ZigBeeアライアンスは、90社以上のメンバーで構成され、中心的な役割を期待されるプロモーターには、Honeywell、Invensys、三菱電機、Motorola、FreescaleSemiconductor、PhilipsElectronics、Ember、SAMSUNGが名前を連ねる。

 プロモーター各社は、エアコンや照明を制御するホームコントロール、ビルオートメーション、インダストリアルオートメーションといった分野を中心に規格の策定や応用シナリオの開発を行い、ZigBeeの普及にリーダーシップを発揮している。

RFID

 電磁波を利用した非接触型の自動認識技術の総称が、RFID(Radio Frequency Identification)だ。RFIDの一般的な説明は、数mm〜数cm程度の微小な無線ICチップ(ICタグ)とリーダ/ライタ(またはスキャナー)が無線で通信し、読み出し専用のもので64〜128ビット程度、読み書き可能なもので数十〜数kバイト程度のデータの読み取りや書き込みを行うというものなのだが、形状や振る舞い、そして想定される用途などにより、いくつかに分類することができる。

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