MS眞柄氏、「やっと三年。さらにあと三年かけて支援して行く」(2/2 ページ)

» 2004年11月29日 20時45分 公開
[柿沼雄一郎,ITmedia]
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ITmedia 今までのマイクロソフトのマーケティングの方程式が使えない分野ですね?

眞柄 使えないし、むしろ使ってはいけません。業務のすべてをIT化する必要はありません。できるところからやっていけばよいのです。無理に導入したりすれば、「入れたけど使ってないよ」という状態に必ずなってしまいます。ユーザーとパートナーの双方を丁寧に導いて行かなければならないのです。

 この三年間はこうした啓発活動の時期でした。そしてMicrosoft Windows Small Business Server(SBS)の発売とともに、ユーザーの成熟度によって、メッセージを分けることにしました。つまり、すでにスキルをお持ちの方々にはSBSでサーバ環境を構築していただき、この先パソコンくらいは持ってもいいなという方には経革広場に来ていただいてITの有効性を体験していただきたいと考えています。

 最終的にはすべてのユーザーの方々にITの有効活用をしていただきたいのですが、現状からすれば、これにも時間がかかると思います。ですから、次の三年間でやるべきことがこれです。

 まず目標として、SBSの販売数を今後半年で2,000本と設定します。ただし、2,000という数字自体に意味はありません。設置や環境設定、サポートまでをセットにした形で提供することで、事例としての採用モデルをより多く作り上げるということです。もちろん導入には初期投資が必要ですから、IT推進ファイナンスのサービスや「スマートビジネス無料体験プログラム」といった施策でサポートします。

ITmedia 経営に即したITの提案とは、具体的にどのようなプロセスになるのですか?

眞柄 一例としては、数カ月かけてユーザーさんのすべての入出金の伝票を調べることから始めます。そこで財務諸表を作って経営上の問題点を洗い出し、最後にIT導入でどう変わるかを導き出します。残念ながらまだ実際例は少ないのですが、これも事例を作っていくことで定番化し、よりスピーディに対応して行くことができるようになると思います。

 そして、こうした事例はIT実践塾や経革広場で紹介されます。プロモーション面でもお手伝いするわけです。

ITmedia この市場への眞柄さんのメッセージは?

 インターネットを利用すれば、ビジネスの機会が飛躍的に拡大します。これを、中小規模事業所の方々にぜひ活用していただきたいのです。

 中小規模事業所の方々から学べるのが、「そこに宝がいっぱいある」ということです。いろいろな技術を持った人々が作り出すさまざまな製品は世界的に通用する素晴らしいものばかりです。

 ただ、例えば店先で売るのみというように販売経路がなかったりするので、テリトリーの限られた商売になってしまっているのが現状です。多くの商売が宝の持ち腐れになってしまっているのでは、という危惧が私にはあります。

 インターネットのインフラを使えば、この障壁が一気になくなり世界が広がります。技術やパテントさえ持っていれば、ITを使うことで受身の商売から打って出るビジネスへと変貌できるのです。

 ソニーやホンダも始まりはここからでした。彼らは数十年かけて成長してきましたが、いまはそれが一瞬にして可能なのです。ITをうまく利用することで、日本のモノ作りの底力をぜひ見せつけてほしいのです。

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