マクニーリー氏はこのところ、技術革新とオープンな標準を軸とするSunの「古い戦略」を明らかに意識しているようだ。同氏は最近、Sun創業時のメンバーであるアンドレアス・ベクトルシャイム氏を復帰させた。これはSunが2004年にサーバベンダーのKealiaを買収したのに伴う措置だ。
SunのSolaris OSをオープンソースライセンスの下で公開するというアイデアをいつ思いついたのかとマクニーリー氏に聞くと、同氏はすかさず「1982年」(Sunが設立された年)と答える。
つい3年前まで、「愛と平和とハトを旗印にするコミューンの戦略」だとしてオープンソース開発方式を否定していた人間の口から、そのようなコメントが出てくるのは意外な気もする。マクニーリー氏があえて1982年に言及するのは、Sunの共同創業者(そしてBerkeley Software Distribution UNIXへの初期の貢献者)であるビル・ジョイ氏のオープンソース分野での貢献を強調するとともに、Sunは創業以来、オープンな標準の推進者であったことをアピールする狙いがあるようだ。
しかしSanford Bernsteinのサッコナギー氏によると、Sunのソフトウェア分野での取り組みは困難に直面しており、同社が喧伝しているOpteron搭載サーバは、せいぜい同社の売り上げの1%を占めるに過ぎないという。
Sunは最近、x86命令セットを使用するOpteronなどのプロセッサ向けにSolarisを売り込むというマーケティング戦略を積極的に推進しているが、アナリストによると、Sunのx86製品のバイヤーの大半は同社のOSではなくLinuxを利用しているという。
マクニーリー氏自身は、Sunの一連の新構想のどれが功を奏しているのか語ろうとしないが、1月13日の決算報告の場でも大きな成果が発表されることはないとアナリストはみている。
BernsteinがSunを格下げしたのに加え、Merrill LynchおよびGoldman Sachs Groupの調査部門もサッコナギー氏の悲観的見通しに同調するかのように、今回の四半期決算の収益見通しを下方修正した。
ニューハンプシャー州ナシュアにあるIlluminataの業界アナリスト、ゴードン・ハフ氏は、「Sunにとって2005年は、数字が非常に重要な意味を持つようになるだろう」と指摘する。
「2005年にSunの財務状況が改善すれば、同社の戦略は素晴らしく、革新的だと人々に評価されるだろう。しかしそうならない場合は、同社の戦略はうまくいっていないと批判されるだろう」(ハフ氏)
SunのCEOは伝統的な知恵に逆らうのが好きだ。UNIX市場は1990年代半ばにWindows NTの前に崩壊するだろうと専門家が予測したときも、マクニーリー氏はSolarisに投資し、Sunは最大手UNIXベンダーとして大きな成長を遂げた。多くの技術に賭けるSunは果たして掛け金を回収できるのかと疑問が渦巻く今日、マクニーリー氏は進路を変えようとはしない。
「トランジスタやASIC、マイクロプロセッサを実際に操作することが求められるエンドツーエンド型システムを開発中だ。われわれはだれよりもうまくこれをやることができる。ソフトウェア、メモリ管理アーキテクチャ、ネットワーク遅延、バスの帯域幅といったことすべてをわれわれは理解しているからだ。だから優れたシステムを作れるのだ」(マクニーリー氏)
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