Oracleは、オープンソースコミュニティーのEclipseをベースに、EJB 3.0を推進するプロジェクトを率いていく方針だ。
Oracleは4月13日、オープンソースコミュニティーのEclipse内で「EJB(Enterprise JavaBeans)3.0」規格を推進するプロジェクトを率いる方針を明らかにした。
具体的には、OracleはEclipseパブリックライセンスの下で、オープンソースのEJBオブジェクト/リレーショナルマッピングツールの開発に協力する。
このプロジェクトは、デザインタイムツールの提供とJ2EEアプリケーションサーバへの配備のサポートにフォーカスする。開発予定のツールはOracleの「TopLink」をベースとする。TopLinkは、Javaオブジェクト/リレーショナルマッピングツールであると同時にエンタープライズアプリケーション用の配備プラットフォームでもある。
Oracleによると、Eclipse開発者にEJB 3.0のサポートを提供することにより、Eclipse IDE(統合開発環境)上でEJB 3.0を利用できるようにするという。EJB 3.0は、リリース予定の「J2EE 5.0」のかなめとして機能し、アプリケーション開発機能と開発者の生産性を向上する、と同社は説明する。
Oracleのデニス・ルーング開発担当副社長は、EJB 3.0のメリットを挙げ、同社はこの規格の普及を促進する方針であることを強調した。「EJB 3.0では開発者は少ないコードを書くだけで済み、モデルが大幅に簡素化・軽量化される」と同氏は話す。
Oracleは3月に、Java開発者がEJB 3.0を体験するための「Oracle Application Server EJB 3.0 Preview」をリリースした。同社のJDeveloper環境でEJB 3.0をサポートした製品のプレビュー版も予定されている。
Forrester Researchでアプリケーション開発と統合を担当するジョン・R・ライマー副社長によると、Eclipseを通じてEJB 3.0を推進するというOracleの取り組みは、同社の方針転換を意味するという。
「これは重要な意味を持っている。というのも、Oracleはこれまでデータベースビジネスに影響を与えるような標準で積極的な役割を果たしたことがなかったからだ」とライマー氏は指摘する。同氏によると、EJB 3.0はデータベースと、オブジェクトとして構成されたJavaプログラムとの間の連携動作を自動化するという。
「Oracleは従来、ユーザーアカウント管理の目的にデータベースを提供するのを嫌がっていたようだが、その姿勢は明らかに変化した。彼らは、EJB 3.0規格は自分たちにプラスになるものとしてとらえており、それをサポートするツールの開発で主導権を握るという方針を打ち出した」とライマー氏は話す。
「OracleはEJB 3.0戦略を通じて、自社のアプリケーションサーバを推進するつもりだ。アプリケーションサーバは、同社のProject Fusionのベースを形成することになりそうだ。Project Fusionは、同社が先ごろPeopleSoftの買収に伴って取得したJ.D. EdwardsとPeopleSoftのアプリケーションをOracleのアプリケーションに統合することを目指した取り組みだ」(同氏)
しかしライマー氏は、Eclipse EJB 3.0プロジェクトにサードパーティーが参加していないことに懸念を抱いている。「IBMも入っていなければ、BEAもSAPも入っていない。これはもっと広範な取り組みであってしかるべきだ」と同氏は語る。
このプロジェクトに関するOracleのプレスリリースによると、JBossとSun Microsystemsに加え、Eclipse Foundationから支持を取り付けているとしている。
OracleのEJB 3.0プロジェクトの成果は、「Eclipse Web Tools Platform」に組み込まれる見込みだ。同社では、2006年初めにJava Community ProcessがEJB 3.0規格を確定するものと予想している。
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