ハラを決めればケンカもできるお客様は神様か?(1/2 ページ)

「お客様は神様です」と三波春夫はいったが、実のところ、顧客というのは神様ではない。(特集:顧客満足度ナンバーワンSEの条件)

» 2005年05月02日 18時36分 公開
[吉田育代,ITmedia]

 「お客様は神様です」と三波春夫はいった。利益を持たらしてくれるのは顧客だ。顧客が払ってくれるお金で会社の経営が成り立ち、会社の払ってくれる給料で自分の生活が成り立っていると思うと、なかなかめったなことはやりにくい。顧客の依頼は絶対であるように思えるし、口の聞き方にも慎重になる。

 しかし、実のところ、顧客というのは神様ではない。あやまちを犯しうるという点で、彼らもまた人間なのだ。持っている情報が古いこともあるし、テクノロジーに対する認識がまちがっていることもある。開発するシステムのめざすべき方向が偏っている場合もある。

 そうしたことが明らかなとき、SEはどう対応したらいいのだろう。長いものには巻かれるのか? 一足先にこの道を歩んできた大先輩たちは、「素直に思うところを進言すべきだ」と助言する。

 日本IBMでSE、SEマネジャーとして長く活躍した経歴を持つ馬場司郎氏は著書「SEを極める50の鉄則」(日経BP社)の中で、こう語っている。

 「そもそもITの世界では、純粋な技術面を除けば、これが絶対だという解がない事柄が多い。プロジェクトのやり方、製品の選び方などは、考え方一つでどのようにでも変わる。にもかかわらず、万一選択を誤ると、時間と費用で相当な損失を被る。こうした危険を最小限に抑えるには、経験が豊富でしかも一定レベル以上の力を持った人間同士で建設的に討議するしかない。

 とにかく、「相手は顧客、俺は業者にすぎない」という考え方は禁物である。顧客もそんな態度を期待していない」

 日立製作所で数々の大規模プロジェクトを取りまとめ、成功に導いてきた名内泰藏氏も著書「曖昧性とのたたかい 体験的プロジェクトマネジメント論」(翔泳社)の中で、こう綴っている。

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