リアルタイム放送でつながる愛・地球博とInterop会場

Interop会場では、「愛・地球博」会場と、Interopを支えるShowNetとをつなぎ、「非圧縮HDTV映像」を双方向にリアルタイムで流すという実証実験を行っている。

» 2005年06月09日 03時13分 公開
[ITmedia]

 「高速ブロードバンドの普及」と言う言葉が陳腐化する昨今、実際の普及スピードは想像を超えたものとなった。今や、バックボーンに1Gbpsのインフラを持つ企業や、下り最大50MbpsのADSLサービスを享受するブロードバンドユーザーは、当たり前のように存在している。

 こうした背景において、現在課題となっているのが、高速ネットワークに乗せるアプリケーションとコンテンツだ。その課題に対して、Interopが提案するソリューションの1つが、「放送局ソリューション」である。

 同ソリューションは昨年度のNetWorld+Interopでも紹介されていたが、2005年のInteropでは、現在愛知県で開催中の「愛・地球博」会場と、Interopを支える超高速ネットワーク「ShowNet」とをつなぎ、「非圧縮HDTV映像」を双方向にリアルタイムで流すという実証実験を行った。

 非圧縮HDTV映像とは、圧縮しない高精細テレビのことだ。愛知の会場から受信した非圧縮映像を、Interop会場内のスタジオから各所に設置されたモニターに、IPv6およびIPv4マルチキャストで配信する。

マルチキャスト配信映像 右がIPv4マルチキャスト配信による映像で、左がIPv6のもの。IPv4の映像に若干の遅延が見られた

 IPv4マルチキャストはHDコーデック内蔵IPビデオゲートウェイ「HDx1000e/d」が、IPv6マルチキャストはギガビットイーサネットを2ポート用いて非圧縮HDTV信号を送受信するNTTの「i-Visto Gateway」が処理する。実際の映像を見ると、IPv6で配信される非圧縮映像は元の映像と遜色ないが、IPv4での圧縮映像は1秒程度だが遅延が見られた。

HDx100e/d IPv4マルチキャストを処理するFRONTIERSの「HDx1000e/d」
i-Visto NTTの「i-Visto Gateway」

各ユーザーに均等に映像を配信

 しかし、ストリーミングを要求するユーザーに対して、ただ映像配信するだけでは問題が発生する。

 というのも、ユーザー側の受信環境が高速であれば、より多くの映像データを要求できる。例えば、1Gbpsのネットワークに対して300Mbpsの環境を持つユーザーがデータの転送を要求した場合、ネットワークの3分の1を占有することになり、他のアプリケーションを利用したいユーザーが複数いても、残り3分の2をシェアしなければならなくなる。

 現在ぷららネットワークスでは、映像配信サービス「4th MEDIA」を提供しているが、環境の違いで配信スピードがユーザーごとに大きく違ってしまえば、最適なサービスを提供できないことになる。

 この問題を解決するのが、アンリツの帯域制御装置「フェアシェア PureFlow FS10」だ。ユーザーをIPアドレスで認識し、帯域をその時点で接続されているユーザーの数で均等に分配する。つまり、特定ユーザーによる帯域占有状態を回避できるというわけだ。

 具体的には、上下それぞれ1万4000個のIPアドレスが処理可能で、新規に接続してきたユーザーの認識は3ms。帯域の公平制御はその後200msで実行される。ちなみに、同製品は前述した実証実験のIPv4マルチキャスト配信に利用されている。

PureFlow アンリツの「フェアシェア PureFlow FS10」

 広帯域の環境が当たり前となる将来、それを活かすソリューションと支える技術をInterop会場で確かめたい。

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