SunとSavvisが「ユーティリティデスクトップ」で提携

データセンターサービスを提供するSavvis CommunicationsはSunと協力し、「Sun Ray」シンクライアントを用いて仮想コンピューティング環境を提供する。

» 2005年06月23日 20時54分 公開
[Jeffrey Burt,eWEEK]
eWEEK

 Savvis CommunicationsはSun Microsystemsと提携して、企業のデスクトップにユーティリティコンピューティング環境を提供する予定だ。

 6月22日にニューヨークで開かれたSecurities Industry Association Technology Management Conferenceにおいて、SavvisはSunの「Sun Ray」シンクライアントを利用した新しい仮想コンピューティング環境を発表した。

 セントルイスを本社とするSavvisは、世界24カ所にある自社のデータセンターにおいて、仮想化されたデータセンターインフラを既に提供している。同社は、Egenera(マサチューセッツ州マールボロのサーバメーカー)、3Pardata(カリフォルニア州フリーモントのストレージベンダー)、Inkra Networks(カリフォルニア州フリーモントのネットワーキングベンダー)などのパートナーと手を組み、VPN(Virtual Private Network)を通じてアクセス可能な総合的なデータセンター環境を従量課金方式で提供している。

 Savvisのロブ・マコーミック会長兼CEOによると、同社はこれらの機能をデスクトップユーザーにも提供する方針だという。この構想の狙いは、データセンターサービスと同様、設備投資を強いることなしに、必要なすべてのコンピューティングリソースを企業ユーザーに提供することだ。これによって、セキュリティレベルも改善されるという。

 「ユーザーは、机の下にあるPCを取り払うことができる。設備投資主体型のITモデルから無投資型ITモデルへ移行するというわけだ」とマコーミック氏は話す。

 同社の構想は、従業員の机の上にSun Rayシンクライアントを設置し、このクライアントからLANまたはワイヤレスネットワークを通じて、一元的なサーバ環境に置かれたプログラムやファイルにアクセスできるようにするというもの。従業員が自分のデスクトップにアクセスするには、Javaベースのパーソナルスマートカードを使用する。

 Sun Rayはモニター、マウス、キーボードのほか、デジタルIDカード用のスロットを備える。

 マコーミック氏によると、Savvisのサービスでは、Sunの「Tarantella Secure Global Desktop Enterprise Edition」を使用し、MicrosoftのWindowsアプリケーション、Solaris 10上で動作するSunの「StarOffice」プロダクティビティスイート、各種のレガシーソフトウェアを含む複数の動作環境をサポートするという。

 企業は設備投資を抑えられるだけでなく、重要なデータやアプリケーションが従業員のコンピュータではなく中央のサーバに保管されるため、セキュリティの改善も期待できる。

 シンクライアントは何年も前に登場し、同分野は現在、Wyse TechnologyやNeoware Systemsなどの企業がリードしており、Hewlett-Packardもデバイスを提供しているが、まだニッチ技術の域を出ていないのが実状だ。マコーミック氏によると、Savvisのサービスの差別化ポイントは、SunおよびMicrosoftとの関係が近いので、WindowsアプリケーションおよびSolaris 10上で動作するStarOfficeの両方をサポートできることだという。

 Savvisは現在、欧州でサービスを提供しており、年末までには米国でのサービスを開始する予定だ。

 カリフォルニア州サンタクララを本拠とするSunはユーティリティコンピューティングを積極的に推進しており、Sun Rayでもその取り組みを進めている。同社は昨年11月、このシンクライアントへのアクセスをレンタルするサービスを計画していることを明らかにした。

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