Sun、「最終的に全ソフトを無料に」

Javaの無償ダウンロード提供、Solarisオープンソース化――そしてSunはいずれすべてのソフトを無償提供する計画だ。(IDG)

» 2005年07月22日 14時33分 公開
[IDG Japan]
IDG

 米Sun Microsystemsの社長兼COO(最高執行責任者)ジョナサン・シュワルツ氏は7月21日、自社技術を中心にしたコミュニティーを築く手段として、最終的に自社の全ソフトを無料で提供する計画を語った。

 「この計画の利点は、より多くの人にわれわれのコミュニティーに関わってもらえることだ」とシュワルツ氏はAlwaysOnカンファレンスの講演でSunの計画について述べた。

 Sunは現在、Solarisのコンポーネントをオープンソースとして提供している。またJavaなどの技術を無料でダウンロード提供している。

 「われわれの製品と技術を無料で提供する方法を誠実に模索してきた」とシュワルツ氏。ただし同氏はSun製ハードを無料で提供するかどうかについては詳しくコメントしなかった。Sunは自社のソフト技術を活用してハードの売上を拡大することができる。

 Sunのほかのソフト製品には、Sun Java Enterprise System(JES)、Sun Java Desktop System(JDS)、StarOfficeや、Java Studio Creatorなどの開発ツールがある。データセンター管理製品のN1や、ストレージソフトStorEdgeも同社のラインアップに含まれている。

 シュワルツ氏によれば、オープンソース版Solarisのライセンスはこれまでに200万件ダウンロードされた。オープンソースというのは売上が発生しないという意味ではなく、異なるビジネスモデルが使われているということだと同氏。

 全般的に、同氏はオープンソースを賞賛した。「オープンソースは革新を牽引し、コストを引き下げる上で非常に生産的な役割を持っている」

 また同氏はMicrosoftを指していると思われるコメントの中で、「自社技術をクローズドソース環境に置いている企業にとっては、相互運用性を真剣に考えていると(市場を)納得させることは難しいだろう」と語った。

 技術をコモディティ化することで市場は形成されると同氏は主張した。「コモディティ市場は世界で最高の市場だというのがわれわれの以前からの見解だ」と同氏は語り、金融サービスや通信サービスなど、サービスがコモディティ化されているが、多額の売上が生み出されている市場を挙げた。コモディティは果てしない需要を生むと同氏は言う。

 AlwaysOnカンファレンスでは、講堂前のスクリーンにライブチャットのコメントが映された。シュワルツ氏の講演の間、同氏がAppleに触れていないことを指摘するコメントや、AppleがSunを買収すると予測するコメントが寄せられた。Javaに関する失礼なコメントもあった。

 講演後のオープンソースに関するパネルセッションでは、元Oracle社長のレイ・レーン氏(現在はベンチャーキャピタル会社の共同経営者)が、コンピュータ業界の根本的な変化について話した。

 「1990年代半ばのソフト業界、あるいはコンピュータ業界全体の考えを取り出して、今そのやり方で営業したら、間違いなく誤った結論に至り、たくさんのまずい決定を下してしまうだろう」(レーン氏)

 同氏は、Microsoft、Oracle、SAPの3社だけでソフトのプロフィットプールの75%を生み出しているが、実際に革新を起こしているのはソフトメーカーの5%足らずだと語った。

 パネリストとして参加したオープンソースデータベースベンダーMySQLのマーティン・ミコスCEOは、今後MySQLにOracleデータベースよりも多くのコードが書かれるようになると信じていると話した。

 またオープンソースのLAMP(Linux、Apache、MySQL、Perl/Python/PHP)は「.NETとJ2EEスタックの本格的な代替選択肢になった」ともミコス氏は述べた。

 オープニングセッション「Future Disruptive Technologies」では、スタンフォード大学とマサチューセッツ工科大(MIT)のパネリストが、米国の学生がコンピュータサイエンスと工学に関心を持っていないという問題を取り上げた。「この分野の学生の半数以上が国外の学生だ」とスタンフォード大学工学部のジム・プラマー学部長は語った。

 「誰か最近の宇宙飛行士の名前を言えるだろうか?」とMITの副学長アリス・ガスト氏はこの問題に関して問いかけた。

 ガスト氏は、科学の一分野における発展が、いかに他分野に恩恵をもたらすかを語った。例えばレーザー研究は物理学から興ったが、現在は外科手術に応用されている。量子力学の研究は、ムーアの法則を打破するために応用されるかもしれないと同氏。

 ムーアの法則は、「チップに集積されるトランジスタの数は18カ月ごとに倍増する」というもので、Intelの共同創設者ゴードン・ムーア氏が考案した。しかし一部の業界関係者は、以前からこの法則の終わりが近づいていると考えている。

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