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» 2005年09月17日 01時55分 UPDATE

Interview:世界初のエンタープライズアプリケーションのユーティリティー企業を目指すSalesforce

Salesforceが発表したAppexchangeは、エンタープライズアプリケーションのユーティリティー化して提供する世界初の試みだ。

[谷川耕一 ,ITmedia]

 「Dreamforce'05」で発表されたAppexchange──これは、エンタープライズアプリケーションをユーティリティー化して提供する世界初の試みだ。この背景には、肥大化するソフトウェアを高価格で提供してきた、これまでのエンタープライズアプリケーション市場の考え方を根底から覆す発想があった。

 Amazon.comのビジネスで実証されているロングテール理論は、マーケティング理論の常識となっていた「2:8理論」(2割の上顧客あるいは売り上げ上位2割に含まれる製品がその会社の8割の利益をもたらす)に対し、売り上げランキング上位の製品の累計よりも売り上げランキングに登場しないような莫大な種類の「ロングテール製品」の累計が、企業に大きな利益をもたらすというもの。Salesforce.comは、多種多様なエンタープライズアプリケーションを容易に提供できるようにするAppexchangeで、ロングテール理論を実践するという。CEOであるマーク・ベニオフ氏に話を聞いた。

mark3.jpg ベニオフCEO

ITmedia 今回発表されたAppexchangeの提供で、オンデマンドCRMのSalesforceからオンデマンドアプリケーションの「プラットホーム」を提供することになります。今後、Salesforce自身がERPなどの幅広いアプリケーションを提供するのでしょうか?

ベニオフ Salesforceは、SFAやマーケティングなどCRMに関連するアプリケーションで既に実績があります。今後も自社では、CRM分野に注力していくことに変わりはありません。

 Appexchangeに対して、SalesforceはプラットホームとなるAppforceの提供に力を入れます。つまり、新たなアプリケーションを容易に構築するための、OS、データベース、既存アプリケーションとの統合のIntegration、アプリケーション開発のためのAPI、開発ツールにあたるbuilderです。

 Appforceにより、システムインテグレーターなどの開発者だけでなく、顧客もさまざまなアプリケーションを簡単に構築できるのです。ERPなどの基幹系、ヘルスケアなどの業界に特化したものなど、既に70種類のアプリケーションがあります。もちろん、Salesforce自身でもAppexchangeで提供するアプリケーションの開発を行います。今後1年で、1000種類のアプリケーションを、そのうち100くらいは日本向けのものを用意するつもりです。

ITmedia 2日目のゼネラルセッションでゲストスピーカーのWired Magazine編集長クリス・アンダーソン氏が、ロングテール理論について講演しました。Salesforceのサービスとロングテール理論の関係について教えてください。

ベニオフ あらゆる機能を持つソフトウェアで成功できるような企業は、OracleやSAPなどごく僅かです。顧客が必要としているのは、そういったアプリケーションの一部の機能で、それらのアプリケーションに業種や業界に特化したカスタマイズを加えた結果なのです。

 日本は良い例です。日本には欧米と異なる法律や商習慣があります。これまでは、エンタープライズアプリケーションの利用を半ば押し付け、業務をアプリケーションに合わせることを強いてきました。Appexchangeならば、日本の開発者や顧客が日本の状況に最適なアプリケーションを簡単に開発し、提供できます。これは、Appexchange-Jと呼んでもいいかもしれません。顧客のニーズに近いところで開発された、さまざまなアプリケーションを提供する。これはまさに、ロングテール理論に繋がります。

ITmedia 日本ではローカルの大きなシステムインテグレーターやコンピュータメーカーが、IT市場に大きな影響力を持っています。新たなパートナー戦略は、考えていますか?

ベニオフ 現在、新たなパートナーシップのあり方を検討しています。Salesforceは、CRMの分野についてこれまではアプリケーションを提供するという立場だけでした。Appexchangeの登場で、システムインテグレーターなどの開発パートナーとは、新たな関係を築いていくことになると思います。OEMを含め、新たな方策が必要と考えています。

ITmedia Salesforceは、Yahoo!やGoogleなど新しいビジネスモデルの市場に参入している企業だというお話がありました。そして、新たにOracle + Siebelという、強力な競合がオンデマンドの市場に登場してきます。Salesforceの今後の戦略に、変化はありますか?

ベニオフ 先ず重要なのはキラーアプリケーションです。過去においては、例えば、Lotus 1-2-3やMicrosoft Officeのようなものです。Salesforceの提供するCRMアプリケーションもキラーアプリケーションです。これは極めて重要です。

 次に大事なのは、プラットホームです。WindowsのようなOSだったりOracleのデータベースやJavaもそうでしょう。これはAppforceであり、Appexchangeということになります。この両方の実現に注力していきます。

 OracleとSiebelは、古いタイプの企業同士の融合です。Salesforceと根本的に違うのは、われわれはインターネット上に唯一存在するエンタープライズアプリケーションだということです。通常のソフトウェアベンダーでは、例えば、トラブルがあった際に開発部門へのエスカレーションルートはさまざまで、関係者がたくさん介在します。これでは、解決までに時間もリソースも膨大に必要になります。Salesforceには、エスカレーションルートは1本しかありません。対象になるアプリケーションも唯一なので、そんな時間や労力は必要ないのです。

ITmedia Oracleとは、これまで友好的なパートナーシップを築いていたと思いますが、今後この関係に変化は生じますか?

ベニオフ つい先ごろも、ラリーとチャットをしたばかりです。Oracleとの良好な関係には、なんら変わりはありません。なぜならば、同社はソフトウェアデベロッパーであり、われわれはソフトウェアバイヤーなのです。



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