メッセージング、データ統合、セキュリティ、プロセス統合、ポータル、およびコンポーザーから構成されるAquaLogicファミリーは、J2EEサーバで長らくライバル関係にあったIBM WebSphereに対しても自ずと補完する製品になる。競合ベンダーを含む異種混在環境で構築された既存システムへの投資を保護するためだ。
「BEAかIBMかを迫るのではなく、“BEA & IBM”── これがわれわれのビジョン」とグラハム氏。再び垂直統合の道を歩むIBMやOracleへの牽制でもある。
基調講演の後半では、デモを交えながら、BEAのWebLogic ServerやAquaLogicファミリーの機能を披露した。
デモは架空の金融会社、「Roth Financial」を舞台に、経営幹部、アーキテクト、デベロッパー、ITマネジャーが登場する。
経営幹部は、幾つかのチャネルでキャンペーンを展開したが、Webによる数字が芳しくないことをWebLogic ServerのBAM(Business Activity Monitoring)機能で知る。ドリルダウンしてみると、個人情報を開示してもらう段階で止めてしまっている顧客が多いことが分かった。そこで、そのプロセスはWebではなく、コールセンターからコールバックさせることで顧客の不安を解消することにした。この日、国内でも発表があった「BEA WebLogic SIP Server 2.1」の応用例だ。
アーキテクトのための機能としては、AquaLogicのServices Registry 2.0がデモされた。デベロッパーから新しいサービスが出来上がったので公開したい旨が申請されてきたという設定だ。アーキテクトは、Business Services Consoleから既存のサービスを調べ、同じサービスが既に提供されていることを知ると、申請を承認せず、再利用を促した。SOAのアプローチを採用すると、ガバナンスの観点からすぐに必要となる機能だ。
今やデベロッパーの70%以上はオープンソースを活用しているという。BEAも「Diablo」と呼ばれたWebLogic Server 9.0では、オープンソースもブレンドできる機能を搭載してきた。ステージでは、WebLogic ServerのAdministoration ConsoleからSpringコンポーネントの稼動状況を監視できる機能が紹介された。単にオープンソースのフレームワークを活用できるというのに留まらず、運用管理面でのメリットも大きい。
Diabroの新機能として忘れてはならないのが、「Hot Swappable Application Server」だ。やはりAdministoration Consoleからクリックするだけで、サービスを止めずに機能強化された新しいアプリケーションへと移行させるデモが行われた。もちろん、ログイン中のユーザーは最後まで旧アプリケーションで処理が続けられる。
「“ゼロダウンタイム”は業界で唯一の革新だ。AquaLogicファミリーを投入するが、WebLogic Serverでの革新は今後も継続していく」とグラハム氏は強調した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.