DCC Alliance、エンタープライズを狙う新版コアをリリース

Debian Linuxをエンタープライズに普及させることを目指すDCC Allianceが、DCC 3.0コアをリリースした。「われわれには勢いがある」と加盟者は意気を上げる。

» 2005年12月09日 17時29分 公開
[インターネットコム]
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 今週、Debianをエンタープライズを意識したディストリビューションにするための動きが勢いを増したようだ。DCC Allianceは、Linuxの採用と標準化を促進し、Red HatやNovellのSUSEの代替選択肢となるかもしれない製品を提供する取り組みの一環として、DCC 3.0コアをリリースした。

 DCCは元は「Debian Common Core」の意味だったが、「Debian」という言葉の使用をめぐる商標問題から、現在は「DCC Common Core」を指している。

 DCC Allianceは8月に発表され、Linspire(旧Lindows)、Sun Wah Linux、Xandros、UserLinux、MEPIS、credativ、LinEX、KNOPPIXのディストリビューターが参加している。この取り組みはエンタープライズにおけるDebianの採用には影響しないとする批判派も多い。

 DCC 3.0はディストリビューションではなく、Linux Standard Base(LSB)3.0準拠のDebianコアだ。これはDebianの商業利用を促進する取り組みの一環として、DCC Alliance加盟ディストリビューター向けのコアを目指している。DCC 3.0は、大きな遅れの後に6月にリリースされたsarge 3.1からDebianコンポーネントを取り込んでいる。

 このコアは、独立系ソフトベンダー(ISV)がDCC 3.0準拠のディストリビューションを簡単に開発できるようにすることを目指したものだ。

 「DCC 3.0のリリースは非常に重要だと思う。これは、共通コアを推進するための各加盟者の最初の取り組みを示すものだ」とSun Wah LinuxのCEO(最高経営責任者)アレックス・バーン氏はinternetnews.comに語った。

 Xandrosのコミュニケーション担当副社長ステファン・ハリス氏は、「DCC 3.0はDebianに商業方面から焦点を当て、Xandrosがサーバ・デスクトップで採用される多くのチャンスを拓く影響力を与える」と話した。

 同氏は、XandrosのこれまでのDCC Allianceでの経験は非常にポジティブなものであり、驚くほど短期間で成果が生まれたことに「喜んでいる」と語った。

 「DCC Allianceがやらなければならないことはまだたくさんあるが、われわれには勢いがあり、大きな障害は現れていない」(同氏)

 Sun Wahのバーン氏は、次のステップの1つとして、ISVおよびIHV(独立系ハードベンダー)向けの認定プログラムを挙げている。

 DCC 3.0とDCC AllianceがDebianの商業利用に実際にどの程度影響するかは不明だ。同アライアンスには、盛んに宣伝されているDebianベースのUbuntu Linuxが参加していない。UbuntuのCTO(最高技術責任者)マット・ジマーマン氏は最近の取材で、DCC Allianceに参加しないのは、同アライアンスが成功すると思っていないからだと語っていた。

 Ubuntuは最近、IBMからDB2の認定を受けた。これは、DCC Allianceに参加しなくても、同社が企業に認知してもらう助けになるだろう。

 Burton Groupのアナリスト、ゲリー・ヘイン氏は、Debianは優れたディストリビューションだが、Red HatやSUSEと比べるとエンタープライズでは勢いがないと指摘する。

 とは言えヘイン氏は、DCC Allianceの結成には励まされると話す。「理論上は、同団体はDebianベースのディストリビューションの間にさらなる共通性をもたらす。善意からできたこの団体の意気をくじくようなことはしたくないが、これがエンタープライズにおけるDebianの勝算を高めるとは思わない」

 エンタープライズユーザーは、1つよりも多くの、だが3つよりは少ないエンタープライズLinuxディストリビューションを望んでいると同氏は言う。

 「2つよりも多ければ、Linuxハード・ソフトベンダーにとって認定とサポートの問題が起きる。だからわたしには、DebianあるいはほかのLinuxディストリビューションがRed HatとSUSEにどうやって対抗するのか分からない」(同氏)

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