企業のコンテンツ管理は本当に難しい!?エンタープライズコンテンツ管理のすすめ(3/4 ページ)

» 2006年02月02日 09時00分 公開
[上村陽子,ITmedia]

 スケジュール管理は、今やグループウェアの導入によって、多くの企業が以前と比べて格段の満足を得られるようになった。従業員のスケジュール情報を共有できるので、本人が不在でも予定の確認ができ、外部からの電話の応対や会議の召集は格段に楽になった。ダブルブッキングなどのミスは激減し、従業員の生産性の向上に大きく寄与している。

 一方、コンテンツ管理の目的も、スケジュールの管理と根本的には大きく違わない。情報の共有であり、コンテンツにかかわる作業プロセスの簡素化であり、ひいては生産性の向上であるからだ。

 筆者自身も、つい先日あるミスを犯してしまった。会議用資料をオフィスで作成していたのだが、その日は残業をしたくなかったので、残りは家でやろうとファイルをUSBメモリに保存して持ち帰った。翌朝出社し、修正ファイルを共有フォルダで上書きしたのだが、実は前日に筆者が会社を出た後で、別のスタッフが同じファイルを修正しており、そのファイルを上書きしてしまったのだ。1時間ほどして、「僕が昨日追加したページがない」とつぶやく彼の声で、ようやく自分のミスに気がついたという次第である。幸い彼の作業量はわずかで、大きなトラブルには至らなかったのだが、このようなトラブルは日常的によくあることだろう。

 さて、このようなミスに限らずコンテンツの管理にかかわる問題は、あらゆるオフィスで日々発生している。ドキュメントを繰り返し編集したためにどれが最新のものか分からなくなってしまった、以前に作った資料がどこにあるか分からない、など日常的な課題を背景に、管理ニーズが増えているのだ。

 しかし、いざ改善に向けた取り組みを始めようとすると、誰もがその大変さに気づく。そもそも「コンテンツとは何か」という定義から始めなければならないからだ。Office文書、Webコンテンツ、画像データ、音声ファイル、電子メールなど、さまざまなデジタル情報の中のどこまでを管理対象とするのか、また、財務データ、設計ドキュメント、会議録、提案書、マニュアル類、イントラネットにアップするコンテンツなど、その種類によって管理すべきプロセスも異なり、どのような管理サービスを準備するべきかを検討するだけでも大変である。

 コンテンツ管理は、スケジュール管理とは異なり、事前にかなり骨の折れる手順を踏まないと大きな満足は得られない。コンテンツ管理を魔法の箱にするには、それなりの努力が必要なのである。

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