企業のコンテンツ管理は本当に難しい!?エンタープライズコンテンツ管理のすすめ(4/4 ページ)

» 2006年02月02日 09時00分 公開
[上村陽子,ITmedia]
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コンテンツ管理を牽引するもう1つの要素

 コンテンツ管理が注目を集める理由の1つは、ここまで述べたような業務効率化へのニーズである。企業は無駄な作業やミスをなくすことに加えて、既存の情報を活用して企業としての競争力を高めることが重要と考えているのである。

 さらに、古くから言われるペーパーレスが、最近はその形を変えている。ネットワークの普及とブロードバンド化に伴い、従来は閉じた範囲でしか共有しなかった情報を、会議室や打ち合わせスペースで、出張先の別のオフィスで、あるいは移動中に、電子的にアクセスすることが技術的に可能になっている。つまり、配布資料なしに会議を進める、最新データを大スクリーンに写して会議の成果はその場で資料に反映させる、といったワークスタイルそのものの変革や真のペーパーレスが具現化しつつあるのだ。

 しかし、このような効率化を目指して、あらゆるコンテンツにどこからでもアクセスできるようオープンなネットワーク上に置くわけにもいかない。情報の漏えいや改ざんがないようアクセスを制御できるリポジトリが必要であり、何らかの問題が起こった場合にはそのアクセス履歴を追跡できるような管理サービスが必要である。このように業務効率化の背後には、必ずセキュリティ確保の問題があり、ここにもコンテンツ管理が注目を集めるもう1つの理由がある。

 米国ではサーベンス・オクスリー法(SOX法)やそのほかの法整備が進んだことにより、コンテンツ管理ソリューションへのニーズが高まり、市場規模も拡大した。一方国内においても、2005年4月から個人情報保護法が全面施行されており、米SOX法の影響を受けて国内の内部統制が強化される方向にある。コンプライアンス(法令順守)という側面からも、コンテンツ管理の注目度は今後さらに高まるだろう。

 さて、このようなニーズを背景に、ITベンダーもさまざまなコンテンツ管理ソリューションを提供している。しかし、どうも世の中では、導入意欲の割りにはコンテンツ管理への理解度がいまひとつというのが現状だ。SOX法対策ソリューションなども手がけるコンテンツ管理ベンダーに、「そちらの製品でブログできますか?」という問い合わせがあったと聞き驚いたが、確かに「業務効率化」「セキュリティ」「ナレッジマネジメント」といった目的に対して、対応ベンダーや製品が1対1に対応しているわけではなく、市場の分類は難しい。第2回以降では、コンテンツ管理の代表的なニーズとその対応策について整理し、より広い概念である「エンタープライズコンテンツマネジメント(ECM)」について解説していきたい。

上村陽子


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