コラボレーション、そのメリットとデメリットコラボレーションプラットフォームの今(3/3 ページ)

» 2006年02月07日 12時30分 公開
[下村恭(ハンズシステム),ITmedia]
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 誰でも利用できる共有ファイルは、それをコピーして持ち出し、書き換えて再び戻すということが行われてしまう。これでは、誰がいつ編集したか、編集に一貫性があるか(つまり、誰かが編集している間に、別の人が持ち出して編集してしまい、各人の編集が反映されないなど)という点で信頼性が損なわれる。

 似たような名前の共有ファイルがたくさんあり、どれが最新のものでどれが決定版なのか分からないといった状況が起こるのもこのためだ。

 こうした問題を解決するのが、コラボレーションのためのグループウェアやポータルといったツールの利用だ。これらのツールには、情報共有が簡単にできるよう工夫されたものが多い。誰がいつどのファイルを変更して、どのような変更を加えたかが分かるバージョン管理ツールなどもある。

 また、電子化されネットワーク化されたことで、他の欠点を補うようにさまざまなツールが生み出されている。電話の欠点の一つといえるコストを削減するために考えられたのがIP電話だ。また、インスタントメッセージングソフトウェアは、電話のリアルタイム性と電子化の情報の再利用性の高さという2つの利点に加えて、プレゼンス(相手の状態)が分かるという利点も併せ持つ。

 これからのコラボレーションは、こうしたツールの利用も視野に入れて、効率的な情報共有を進めることが大切になっていくだろう。

情報ごとに伝達方法を選択すべき

 本稿では、情報を分類して、その伝達方法の違いによるメリットとデメリットを考えた。その理由は、どんな情報をどのように伝達して共有するかということを把握できていなければ、正確かつスムーズなコラボレーションは不可能だからだ。

 情報共有の方法はさまざまだ。自社でコラボレーションの最善策を見つけようとするときは、上記の情報分類を行って最適な伝達方法と組み合わせてほしい。電子化の利点はかなり大きな部分を占めるかもしれないが、コストやリテラシーなどを考慮すると、アナログ的方法の方がかえって情報を正確に保てるという場合もあるかもしれない。

 その意味で、何が何でも電子化するのではなく、適材適所で考え、時間を追って順に適用したり、部分的に適用するというシナリオも考えられる。あるいはコンプライアンスの面から、情報共有を見直す必要もあるかもしれない。社外に出てはいけない情報を守るため、業務効率と情報の秘匿をはかりにかける必要も出てくる。

 より正確で効率の良いコラボレーション、本当に必要とされているコラボレーションの在り方を考えたい。そして次回は、情報の電子化の方法やその後の利用方法について考えてみる。

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