「インテリジェンス」生み出すビジネスマンが主役に現場力を鍛えるこれからのBI:(3/3 ページ)

» 2006年04月03日 07時00分 公開
[村上 敬,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

当たり前のことをしていては勝負にならない時代

BIを使って分析をし、報告書を作るにしても、自らが問題意識を持って取り組めば、そこで得られたインテリジェンスは必ず役に立つはずだ。意思決定の迅速化とともに、活用するデータや分析の掘り下げ方にも要求されるレベルは高まる一方だ。日本総合研究所の兼為氏もこう話す。

「データを活用して経営に生かすというのは、ツールの問題もありますが、やはり使う側のマインドやスキルの問題が大きいと思う。たとえば1000人の会社で、1000人がそういう高い意識を持つというのは、実際は難しかった。だから、これまでは経営者や経営企画など、一部の人だけが使っていた。それがいまBIの利用が広がっているというのは、ビジネスマン一人一人の意識も変わってきたということでしょうね。いま何かを提案するのでも、当たり前のことを書いて出したら勝負にならないですよ。やはりデータを分析して、マーケットはこうですよ、購買実績はこうですよ、だからこういう商品はどうですか、どういうビジネスはどうですか、とやっていかなければ相手にされない。それが現場でもわかってきたから、意識も当然変わる。変わらざるを得ないですよね。情熱と足だけじゃお客さんも動かないんですから」

また兼為氏はデータを活用して自分自身のビジネスマンとしての勝負をかけてきた人は昔からいたと話す。

「昔から、気の利いた人は、自分でエクセルやアクセスを使って、自分なりにいろいろやっていましたよ。提案書を作るときも、自分で実績データなんかを探してきて分析して。ほんの一部ですけど、そういう人はたしかにいて、実績も残してきたんです」

現場の全員が利用するBIの仕組み経営層に対する報告書づくりも確かに仕事の一つ。しかしやはり自分が携わる現場の仕事に直接生かせるインテリジェンスを生み出したいと考えるのも自然な流れだ。とくにこれだけIT環境が整ってきた時代であればなおのことだろう。

日本オラクル、システム事業推進本部の桑内崇志氏は次のように語る。

「BIによって現場の業務効率を高めたいというニーズが強くなっています。もともとのITは、人間では効率的にやりきれないところをITに変えていこうというニーズからきたと思うのですが、それが徐々にビジネスプロセスの中に組み込まれてきたという大きな流れがある。事例でいえばあるコインパーキングの企業が営業の現場の効率を高めるためにBIを導入しています。最初から、営業マンが全員使うことを目的とした導入でした。簡単に言えば、駐車場になる物件を見つけた場合、BIで他の物件の情報と照らし合わせて、採算が取れる物件なのか、価格設定するとしたらどれくらいが最適なのかということが、もうその場で瞬時にわかる。従来は、経験と勘で判断していたり、他の物件を参考にしようにも、自分でそれを探さなくてはいけませんでした。それがその場で精度の高い判断ができるのですから、大幅な業務改善になります」

経験と勘だけをベースに社員が仕事をしていては、その経験と勘を習得する時間を待たなくてはならなくなる。経営指標にかかわるテーマだけでなく、まさに最前線の現場にもBIは浸透してきている。

次回は、BIの現場活用に立ちはだかる壁についてリポートしてみたい。

前のページへ 1|2|3       

Copyright© 2010 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ