ストレージの重要度が増す理由とは? Storage Networking World Spring 2006開幕

米サンディエゴで米国最大規模のストレージカンファレンス「Storage Networking World Spring 2006」が開幕。順調に推移するストレージ市場だが、政府の規制強化などによって「セキュアストレージ」という新たなテーマも課されている。

» 2006年04月04日 11時45分 公開
[堀哲也,ITmedia]

 米国時間4月3日、米サンディエゴでストレージカンファレンス「Storage Networking World Spring 2006」が開幕した。米国で開かれるデータストレージに関するイベントでは最大規模のもの。プレオープンとなった初日の3日は、チュートリアルを中心に行われた。今ではミュージアムとなっている巨大空母「ミッドウェイ」を望めるホテル「Manchester Grand Hyatt」で6日まで開催される。

ミッドウェイ ウォーターフロントには日本ともゆかりの深い空母「ミッドウェイ」が浮かぶ

 最近のストレージ市場は、データの爆発的な増大を背景に好調に推移。米調査会社IDCによると、2006年も順調に推移する見込みだ。さらに、災害対策、コンプライアンスなどといった課題が企業にとって重要度を高めており、もはやストレージを「サーバの付属品」ととらえることは十分でなくなってきた。

 これらビジネスに直結する課題に対応すべく、米国では企業の認識は顕著に変化してきているという。米Hewlett-Packardシニアテクノロジストのアボット・シンドラー氏は「これまで企業はアプリケーションを重要視してきたが、その価値はアプリケーションではなく、データにあると考えるようになってきた」と指摘する。多くのストレージベンダーは情報ライフサイクル管理(ILM)を掲げ、価値に応じたデータの扱いを提案してきたが、企業もその必要性を理解し始め、ストレージに対する考え方に変化が出てきたというわけだ。

ストレージとセキュリティが接近

 また、これら企業に課された課題をさらに解決すべく新たなトレンドも生まれてきている。ストレージとセキュリティの接近だ。米調査会社のIDCのチャールズ・コロジー氏は、この市場を「セキュアストレージ」と呼び、政府の規制をはじめとしたコンプライアンスの動きが市場をけん引すると予測。ネットワークセキュリティだけでなく、内部からの脅威に対応するため、ストレージプラットフォームがアクセス制御や監査といった機能を備えることが重要になってきているという。

 米Enterprise Storage Group(ESG)のリサーチャー、トニー・プリモア氏もストレージにおけるセキュリティの強化が大きなトレンドと考えている。災害対策やコンプライアンス、リスクマネジメントといった最近の傾向がすべて重なり合ったことによって生まれた市場だと同氏は分析する。

 とはいえ、IDC調査によると、データセキュリティの基本となる暗号化に関して「バックアップデータを暗号化していると答えた企業は20%にすぎない」というのが現実。ESGのプリモア氏も「まだこの分野は小さなセクションにすぎない」と話し、IDCのコロジー氏は「まだこのマーケットニーズを満たすソリューションは存在していない」と指摘する。

 新たなニーズを満たすには、ストレージはセキュリティ機能をスムーズに利用できるように統合される必要がある。そのためには、ストレージベンダーとセキュリティベンダーの連携が欠かせない。既に両業界は歩み寄りを見せており、米SymantecのVeritas買収や、米NetAppのDecru買収、米SonicWALLのLasso Logic買収などはこのトレンドに合致したものと言えそうだ。また、「EMCやCisco、日立といった大手ベンダーもストレージセキュリティの話を始めている」とも言う。

 このような中、「現在ユーザーがすべきことは、ベンダーの製品ロードマップをよく調査し、十分なリスクアセスメントを行っておくことだ。セキュリティとストレージのチームが今のうちに協力できる体制を作っておく必要もある」とプリモア氏は話した。

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