MS、エンタープライズツールへの道のり(2/2 ページ)

» 2006年04月19日 18時40分 公開
[Darryl K. Taft,eWEEK]
eWEEK
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 このとき、ラプランテ氏は、Microsoftの上級幹部にアプローチャビリティ、プロダクティビティ、統合の戦略を売り込んだという。

 「説得は簡単だった」とソマセガー氏。「問題は、どのようなアプローチを取るかだ。時間を掛けてやり方を考えた。だが、これをやる必要があるかという決断はとても簡単だった」(同氏)

 だが、彼らは皆、簡単な仕事ではないと分かっていた。

 「スティーブがその会合でわたしに『君がこの製品を作り上げる前に、わたしはエンタープライズ営業部隊を用意する』と言ったことを覚えている」とラプランテ氏。

 「われわれは大体正しかった。われわれには今、優れた営業部隊がある。根本的に販売アプローチが異なるからだ」(同氏)

 このような経緯で「Burton」(VSTSのコードネーム)は生まれた。Microsoftはグレディ・ブーチ氏を手に入れられなかったが、もう1人のグレディを手に入れた。VSTSの元プロジェクトマネジャー、グレディ・レノ氏は、スノーボードメーカーにちなんでこのプロジェクトを「Burton」と呼んだ。同氏の好きなスポーツがスノーボードだったからだ。Microsoftは2004年のTechEdカンファレンスでVSTSの計画を発表した。

 一方、IBMのRational部門はALMツールの始祖を革新し続け、大きな市場シェアを誇っている。「業界アナリストによると、IBMはアプリケーション開発ソフト市場のリーダーで、市場シェアはMicrosoftの2倍だ」とRationalの戦略担当ディレクター、ジェフ・ヘンリー氏は語る。

 「IBMは20年以上前からこの分野にコミットしてきた。われわれは、顧客が異種混在環境で運用しており、これまでの投資を活用したがっていることを認識している。ライバルとは違って、IBMはソフトとシステムの開発をコアビジネスプロセスとして管理する手助けをする完全なソフト開発プラットフォームを提供している」(同氏)

 ラプランテ氏は次のように語る。「Rationalの誰かが、Microsoftは追いつくための時間は20年しかないと言った。わたしは、20年でできることがせいぜいその価格で市場の5%を手にすることなら、追いかけたくはないと考えている。それではおもしろくない」

 Borland SoftwareもALM分野のプレイヤーだ。同社のプロダクトマーケティング上級ディレクター、マーク・ブラウン氏は、Microsoftのマスマーケット戦略は現実的であり、Borlandは実際に同様の領域を目指している。

 「Borlandは、CxO、アプリ開発VP、PMO、プロジェクトマネジャー、プラクティショナー(ビジネス・ITアナリスト、アーキテクト、開発者、QAテスター、パフォーマンスエンジニア)向けの機能も含めALM分野全体に対処しようとしており、効率的な作業とハイパフォーマンスチームに必要なツールを提供している」(ブラウン氏)

 「Microsoftはまだソリューションの大半を構築中であり、今はプロジェクトマネジャー、アーキテクト、開発者、テスターによりフォーカスしている。同社は製品を改良し続ける中で、より多くの役割へとサポートを拡大するかもしれない。だが、それはMicrosoftプラットフォームに限られるだろう」と同氏。

 Forresterのアナリスト、キャリー・シュワバー氏は、Microsoftのエンタープライズツール分野における展望は、「非常に強力」だと考えているという。

 同氏は、Microsoftは自社のツールセットでエンタープライズ級のスケーラビリティを達成したと語る。しかし「エンタープライズ市場での普及の最大の障害はプラットフォームサポートだ」。

 「この課題はすぐには解決しないと思う。エンタープライズIT部門は異種混在環境にある。開発ツール標準化の動きがあるということは、多くの企業が、不要に閉鎖的な環境を作り出さないよう、プラットフォームサポートが限られているツールを避けるだろうということだ」(同氏)

 だがラプランテ氏は、Microsoftの統合の筋書きは、多くのビジネスを勝ち取ると確信していると語る。「人々は、統合されたシステム向けのベストオブブリード製品をあきらめるだろう。彼らはテストから開発、運用へとデータを流したいのだ」

 一方、「ハイボリューム・ローコスト戦略は企業の役に立つと思う」とシュワバー氏は言う。「だが処女地への売り込みは容易ではない」

 蘭Info Support International GroupのITアーキテクト、マーセル・デ・ブリース氏は次のように語っている。「Microsoftが、高品質のソフトを構築するというわれわれのビジョンを完全にサポートする新しいツールセットを提供すると発表したときに、われわれはTechnical Adoption Programに参加し、自社のソフト開発部門のエンジンとどうやって入れ換えるかを理解するためにMicrosoftと協力した」

 デ・ブリース氏によると、Info Supportは「日常的な作業に自社製ツールとオープンソースツール」を使っていた。「われわれはMicrosoftツールを導入したかった。それにより、これら多くのツールを自分で維持する負荷をなくすことができた」

 「これにより、ソフト開発部門の構成、セットアップ、調整がより革新的になり、ユニットテストの構築と実行、デイリービルド実行のためのコモディティツールについて心配する必要はなくなった」(同氏)

 米Electronic Data Systemsのテクノロジスト、エティエン・トレンブレー氏は、「VSTSでの経験は、今のところ素晴らしい。3つのパイロットプロジェクトで使い、成功を収めた」と語る。

 VSTSはスタティックコード分析、ユニットテスト、ナイトリービルド、作業アイテム追跡、バグトラッキング、リポーティング、新しいソース管理システムなど、優れた多くの開発チーム向けツールを盛り込んでいる。

 「この製品の機能全体が、反復出力の予測可能性を大きく高めている」

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