Web2.0型ビジネス研究 ショッピングSNS編Web2.0型金融ビジネスは成り立つか(1/3 ページ)

GMOインターネット証券の今後を占う上で、Web2.0の世界におけるビジネスの特徴について考えてみたい。代表的なものとしてはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が挙げられるだろうが、よく見ると、Web2.0型ビジネスには発想豊かなものがいろいろとある。その一つが、モノが売れるという「ショッピングSNS」である。

» 2006年07月10日 08時00分 公開
[アイティセレクト編集部,アイティセレクト]

本記事の関連コンテンツは、オンライン・ムック「Web2.0型金融ビジネスは成り立つか――革新か、禁じ手か 『ネット金融2.0』の実態に迫る!」でご覧になれます。


 「ネット金融2.0」を標榜するGMOインターネット証券。では一体、従来のネット証券とどこが違うのか。その勝算はあるのか。そして、「ネット金融2.0」と呼ばれようとしている事象は、起こり得るのだろうか。

 そこでまず、そのビジネスモデルの「インフラ」ともいうべき、Web2.0の実態を垣間見ることにする。それには、第2世代の技術を活用するネットサービスの姿を研究する。その上で、それがネット金融ビジネスにどう働くのかを考えてみたい。

 ところで、Web2.0という言葉は最近、メディアでよく使われる。それは一体、何を指し示すのか。

 その説明は、見識者によってもさまざまである。そして、それらを聞く限り、人によってその解釈に温度差があるように見受けられる。「言いだしっぺ」といわれる、米技術系出版社オライリー&アソシエイツ代表のティム・オライリー氏が明確に定義している/していない、といったことまで議論される現状もある。

 ここでは、Web2.0を厳密に定義するつもりはない。だが、話を進める上で1つの前提を示しておきたい。それは、Web2.0時代はロングテール(※1)を対象にしたビジネスがしやすくなった、ということである。その点について、今回と次回は、少し「金融」の話題から離れ、広くWeb2.0型ビジネスを見てみることにする。

世界初の新SNSか?

 Web2.0の技術を活用しているネットサービスとして広く認識されているのは、恐らくSNSやブログかもしれない。最近のメディアでは、「Web2.0」と打つとこぞってそうしたサービスを手掛けるベンチャーらが取り上げられる。ただ、Web2.0が何なのかを定義することにもよるが、間口を少し広げて見てみると、ほかとは違った、発想豊かなネットサービスも結構ある。

 そんなWeb2.0型サービスの1つに、PR会社のビルコムが展開する「ビルコレ」がある。一言で表現すると「ショッピングSNS」。SNSのコミュニティを築き、そこで提携するECサイトの商品を売ろうとする仕組みだ(次ページ枠内記事参照)。ビルコム代表取締役兼CEOの太田滋氏によると、日本初のサービスとか。もしかしたら、世界初かもしれない。

 その特長は、購入率の高さにある。3月22日に開設されたばかりのβ版だが、5月末までの平均購入率は3.2%(※2)を誇る。その計算式は単純に「購入数÷会員数」であるため、1人が複数個買えば当然高くなるのだが、太田氏は「それでも高い数値」と強調する。というのは、「バナーなどの通常のネット広告でモノが売れる割合は0.0X%ほど」(太田氏)だからだ。つまり、あるバナー広告を1万人がクリックしたところで、そのうち実際に購入する人は数人程度。「ビルコレ」であれば、1万人のメンバーのうち300人が買ってくれることになる。

 こんな販売効率のいい仕組みを、モノを売る側は指をくわえて見ているわけがない。実際、提携サイトは日に日に増え続け、69社(※3)にまで広がっている。

※1 簡単に説明すると、ある市場において上位20%を占める人気商品を「ヘッド」というのに対して、残りの80%を指す。これを図示すると、その形が恐竜のようになることから、「ヘッド」「テール」と呼ばれる(下図参照)。売り上げ的には、上位20%で80%に達するといわれ、リアル店舗などスペースが限られるところでは上位20%にあたる商品以外で在庫を持たないのが鉄則とされた。だが、ネットでは残りの80%もそろえて、売ることができるようになった。その好例が、アマゾン・ドットコムのビジネスモデルである。

※2 6月16日現在。

※3 6月16日現在。7月7日時点では72社にまで増えている。

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