Web 2.0とSOAの遠いようで近い関係動き出したSOAのいま(3/4 ページ)

» 2006年09月04日 08時00分 公開
[谷川耕一,ITmedia]

技術はコンシューマーからやってくる

 従来、技術はプロフェッショナルの世界で開発され、その廉価版、普及版がコンシューマーのところに降りてくるというのが普通だった。これは、テレビ局で使うビデオカメラの普及版が家庭用として開発されていることなどを思い浮かべればすぐ理解できるだろう。

 ところが、ここ最近は違うらしい。コンシューマーの世界から技術がやってくるという。消費者のマーケットで新たな技術が先に利用されるというのだ。特に、IT関連の技術にその傾向が強い。膨大な数のユーザーに対してサービスを展開するコンシューマー向け技術の方が、スピードや多様性、変化への柔軟な対応力など、求められる機能や性能はエンタープライズ向けよりも高いものもある。つまり、インターネットにおいては、コンシューマーが持つ影響力の量的な大きさというのが決定的な要因になりつつあるのだ。

 サービスを提供する側は、とどまるところを知らない消費者の要求に応え続けるために新たな技術の開発を急ぐ。その後、十分に技術が「こなれて」から、エンタープライズ市場にやってくるという新たな方向性が生まれようとしている。技術開発にまつわる従来のあり方に、こうした新たな流れが加わることで、コンシューマー向けとエンタープライズ向けの技術の間にあった垣根が低くなり、両者の境界があいまいになってきているのだ。

 技術としてのインターネットは、初めこそ一部の研究者を対象に普及したが、途中からはコンシューマーがそれを主導している。今では、動画配信などトラフィックの大部分はコンシューマー向けのものであろう。blogも最初は個人ユーザーのための日記システムであったが、いまでは企業内での情報共有やコミュニケーションツールとして使われている。チャットしかり無線LANしかり、オープンソースソフトウェアなどもそうであろう。携帯電話も、ここにきてビジネス領域で活用する新たな端末として注目を浴びている。コンシューマー主導での技術革新の方向性が色濃くなってきているのだ。

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