Web 2.0とSOAの遠いようで近い関係動き出したSOAのいま(4/4 ページ)

» 2006年09月04日 08時00分 公開
[谷川耕一,ITmedia]
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ユーザーそのものに変化を促す

 話は若干それるが、来年には市場に投入されるWindows Vistaでは、ゲームで活用されているGPU(Graphics Processing Unit)をアプリケーション開発環境でサポートする。ゲームの3D表現力が、ビジネスアプリケーションでどこまで必要とされるかは分からないが、使える技術があるならばそれを取り入れたいと思うのも自然の成り行きだ。Ajaxについてもまだビジネスアプリケーションの部分ではそれほど話題にはならないが、今後はリッチなクライアントが再びビジネスアプリケーションの世界にもやってくるのかもしれない。

 この流れは、ユーザーそのものの変化も後押しすることになる。これからは、学生時代からインターネットやGoogleの検索などを当たり前のように利用している世代がどんどん社会に進出する。彼らは、Web 2.0が示す感覚に慣れており、旧来のビジネス感覚や価値観ではなく、新しい価値観を持っている。その世代がビジネスアプリケーションのユーザーとなったとき、味気ないインタフェースではなく、動画やリッチなクラインアントを求めるかもしれない。

 また、こうしたユーザーはもともと、技術をゼロから開発するのではなく、既存のさまざまな機能を検索し、マッシュアップの考え方で混ぜ合わせて新たなサービスを生み出すことには慣れているので、SOAを活用したコンポジットアプリケーションの構築も彼らには容易かもしれない。

 もはや「コンシューマーとエンタープライズの世界は違う」と言ってはいられない。これからシステムを開発する人は、自分の世界に閉じこもるのではなく、制約の中でいかに工夫して新しいサービスを生み出すかを考える必要がある。内に閉じこもるのではなく外に開放する。標準化とオープン化がその際のキーワードだ。

 システムを提供する側の人には、コンポーネントをつなぐだけではなく、常に「サービス指向」を意識し、新しい技術を取り入れ、「Web 3.0」なり「Web 4.0」の時代に向けてビジネスアプリケーションを進化させていこうとする意識が求められるだろう。

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