Web 2.0とSOAの遠いようで近い関係動き出したSOAのいま(1/4 ページ)

エンタープライズコンピューティングらしいコンセプトであるSOAと、どちらかというとコンシューマー向けの技術や世界観の中で話題にされることの多いWeb 2.0の間には、将来を見据えると少なからぬ関連性がある。

» 2006年09月04日 08時00分 公開
[谷川耕一,ITmedia]

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 いま最も流行しているキーワードといえばWeb2.0だ。ITの世界を超えて、一般にまで浸透してきている印象もある。ビジネス誌などではWeb2.0にとどまらず、「xxx 2.0」という形式の新たな言葉まで生み出している。既存の世界を「1.0」とし、それぞれの次世代の展望を「2.0」として解説しているのである。

 わたしは、Web 2.0は「Web 2006」ととらえた方がいいとも考えている。つまり、この言葉は「いま」のWebの技術や世界観を表すものであって、明確な定義があるわけではない。Webが革新、進化を続けている状況の「いま」を表す言葉だ。

 エンタープライズITの世界をみてみると、SaaS(Software As A Service:サービスとしてのソフトウェア)、日本版SOX法など、ここ1年くらいで一気に注目を浴びるようになった言葉が幾つかある。アルファベットの頭字語が溢れているのは相変わらず。そんなはやり言葉の1つで、数年前から登場しているのがSOA(サービス指向アーキテクチャー)だ。なかなか実態が見えにくいといわれながら、SOAに対応したシステムであるとか、SOAを実現するミドルウェアツール、SOAに対応したパッケージアプリケーションなどというものが、現実のものとして登場している。

 ところで、このいかにもエンタープライズコンピューティングらしいコンセプトであるSOAと、どちらかというとコンシューマー向けの技術や世界観の中で話題にされることの多いWeb 2.0の間には、将来を見据えると少なからぬ関連性がある。

 SOAは通常、企業が情報システムの最適化を図る際の方法論として議論される。XMLやSOAP、ESB(Enterprise Service Bus)など、技術的な話に発展することも多い。

 一方、Web 2.0は、Ajaxなど技術面の話も出るが、どちらかといえばユーザーの使い勝手や新たなビジネスモデルの話になることが多い。ベンダーの理論というよりは、ユーザー、消費者の理論であり、消費者が何を望んでいるのかが先行する。先にユーザーありきという考え方は、実は、本来のSOAの目的である「サービス指向」と符合するのである。

 ガートナージャパンが7月に開催した「SOAサミット2006」において、「第2次インターネット革命、Web 2.0、コンシューマライゼーション」というタイトルで講演したガートナー リサーチ ソフトウェアグループのバイスプレジデント兼ガートナーフェローのデイビット・スミス氏は、SOAという大きな傘の下にWeb 2.0と「Enterprise 2.0」が収まっている絵を示し解説している。

Web 2.0と「Enterprise 2.0」(資料提供:ガートナージャパン)
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