SPARC/Solarisの置き換え狙うItanium連合

HP、富士通、Unisysといった「Itanium推進連合」が勢力拡大を目指し、SunのSPARC/Solarisアプリケーションをソースコードなどの変更なしにItaniumに移行させるプログラムを開始した。

» 2006年09月26日 14時35分 公開
[Jeffrey Burt,eWEEK]
eWEEK

 IntelのItaniumアーキテクチャの勢力拡大を目指す企業連合が、SPARC/SolarisアプリケーションをItaniumに移行するようソフトウェアベンダーに促すプログラムを開始しようとしている。

 1年前に設立されたItanium Solutions Alliance(ISA)が9月25日に発表した「ISV Platform Expansion Program」では、Transitiveの「QuickTransit」技術を利用する。同技術は、Sun MicrosystemsのRISCベースのプラットフォーム用のアプリケーションを、ソースコードやバイナリの変更なしにItaniumアーキテクチャ上で動作させることができる。

 さらにISAは、Itanium上で動作可能なアプリケーションの数がこの1年間で2倍以上増加して1万本の大台を突破したこと、そしてOracleがOracle DatabaseおよびFusion Middleware製品でItaniumをサポートする予定であることを明らかにした。

 また同連合では、Itanium 2対応アプリケーションをアピールすることを狙ったコンテストも実施する予定だ。

 ISAの発表は、サンフランシスコで開催された「第1回Itanium Solutions Summit」で行われた。Intelはこの後すぐに、サンフランシスコでデベロッパーフォーラムを開催する。

 同連合のプログラムは、支持ベンダーらのいう主要市場であるRISC置き換え市場をターゲットとする。カリフォルニア州ロスガトスに本社を置くTransitiveは、去る6月にQuickTransitをリリースした。

 Transitiveのボブ・ウィーダーホールド社長兼CEOは、「最新世代のItaniumプラットフォーム上で今すぐ、Solaris用アプリケーションを動作させることに関心を持っているISVのメンバー企業に、われわれはライセンスとサポートを提供する」と発表文で述べている。

 ISAは2005年9月、物議を醸しているIntelの64ビットアーキテクチャの推進を目指すハードウェア/ソフトウェアメーカーのグループ(Hewlett-Packard、富士通、Unisys、Microsoft、SAP、Red Hatなど)によって結成された(関連記事)。

 次世代の汎用マイクロプロセッサアーキテクチャになることを目指して投入されたItaniumは、この10年間、当初のパフォーマンス問題およびリリースの遅れ、そして後にはIntelやライバルのAdvanced Micro Devices(AMD)のx86プロセッサの勢力拡大といった要因が、その普及の妨げとなってきた。

 Itaniumアーキテクチャは現在、RISC置き換え市場およびハイエンドコンピューティング分野に狙いを定めている。現時点でItanium搭載システムを販売している大手サーバメーカーは、同プロセッサをIntelと共同で開発したHewlett-Packard(HP)だけである。IBMとDellはItanium市場から撤退し、Sunは自社のx86サーバでAMDのOpteronチップを採用している。

 Itaniumアーキテクチャは、今後もニッチ製品にとどまる運命にあると指摘する向きもある。しかし、Silicon Graphics、Unisys、富士通といった準大手サーバベンダーが同技術を採用している。ISAでは、Itaniumの普及を推進するために、向こう4年間で1000万ドルの資金を投じるとしている。

 また、業界観測筋の間には、Itanium市場は比較的有望だとする見方もある。マサチューセッツ州フレーミンガムにあるIDCでは、Itanium市場は2004年の14億ドルから2009年には66億ドルに成長すると予測している。IDCによると、Itanium搭載システムの市場は2006年4〜6月期に36.4%成長し、4億7000万ドルの売り上げを記録した。

 Intelは7月、デュアルコアとオンチップ仮想化技術を搭載した「Itanium 2 9000」シリーズ(開発コードネームは「Montecito」)を発表した。

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2011. All Rights Reserved.

注目のテーマ