【SOA最新動向】ミドルウェア編――SOAを実践するための現実解動き出したSOAのいま(1/3 ページ)

SOAをシステムに実装する上で、ミドルウェアの選択が不可欠なのが現状である。各ベンダーはこのレイヤに、どのようにして膨大なサービス機能を用意しているのだろうか。

» 2006年09月29日 08時00分 公開
[渡邉利和,ITmedia]

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 SOAの実装の中心的な存在になっているのが、ミドルウェアである。ミドルウェアとは、もともとはOSとアプリケーションの中間(ミドル)という意味で、RDBMSなどが代表的な存在とされていたが、最近では、ミドルウェアをアプリケーションサーバとほぼ同義の言葉のように使う例が増えた。OSの存在感が希薄になった代わりに、データを管理する層(レイヤ)としてデータベースを土台とし、アプリケーションとデータベースの間に入る存在として位置づけ直された感がある。

 この新しいミドルウェアでは、アプリケーションの実行環境に加え、アプリケーションを支援するためのさまざまなサービス機能が用意される。そして、これらの機能の多くはSOAのインタフェースを使って実装されており、SOAによるアプリケーション構築を直接的に支援するレイヤとなってきている。

 そこで今回は、BEA Systems、Oracle、IBMという海外の代表的なミドルウェアベンダーの提供するSOAソリューションについてみていくことにしよう。

BEA Systems

AquaLogicでSOAの基本機能を提供

 BEAでは、SOAのためのサービスインフラストラクチャー製品として、「BEA AquaLogic製品ファミリー」の整備に取り組んでいる。アプリケーション実行環境としてJ2EEや.NETに対応し、SAP、Oracle、IBMなどのプラットフォームもサポートする。その上で、AquaLogicではサービスの構築、サービスの検出、セキュリティや管理といった機能を提供する。考え方としては、SOA環境で共通に必要となる基本的な機能をあらかじめ用意しておく、というものだ。

BEAのSOAサービスインフラ

 AquaLogic User Interactionは、いわゆるポータルサーバだが、AquaLogicファミリに統合され、SOAアプリケーションに対してユーザーインタフェースを提供する役割を担う。

 また、AquaLocig Service Busは、ESB(Enterprise Service Bus)の統合機能とサービスの運用管理を兼ね備える。

 Webサービスの技術に基づくSOAでは、サービス間のメッセージングはHTTP+SOAPで実現することができるが、ここにはエンタープライズ環境で求められる信頼性や管理機能は実装されていない。つまり、メッセージが届くかどうかは保証されず、障害があった場合にもその状況を後から確認することができない。ごく少数のサービスを実験的に運用しているレベルでは問題にならない可能性もあるが、企業のITシステム全体をSOA化していくことを考えると、こうした信頼性の低い土台の上にシステム構築することはできない。

 そこで提唱されたのがESBであり、各社から実装製品が提供されている。BPEL(Business Process Execution Language)と並び、SOA実現のための重要な技術要素である。

 AquaLogic Data Services Platformは、アプリケーションからのデータへのアクセスをサービス化した、ユニークな製品だ。「データへのアクセスという基本的な機能をSOAによってサービス化したもの」と理解することもできる。

 Data Services Platformはデータへのアクセス手段を一元化、抽象化するので、上位のアプリケーションコンポーネントはデータアクセスについて詳細を実装する必要がなくなる。SOAでアプリケーションの機能をコンポーネント化していく際には、可能な限り特定の処理に依存しないように注意して設計しないと再利用が困難になるが、Data Services Platformを利用すると、データアクセスに関してはこの問題を回避できる。

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