理研、ペプチドの凝集シミュレーションでゴードンベル賞を受賞

理研は分子動力学シミュレーション専用コンピュータシステム「MDGRAPE-3」の一部を使ったシミュレーションで、2006年のゴードンベルを受賞した。

» 2006年11月17日 16時25分 公開
[ITmedia]

 独立行政法人理化学研究所(理研)は11月17日、理論ピーク性能1ペタFLOPSを実現する分子動力学シミュレーション専用コンピュータシステム「MDGRAPE-3」の一部を使ったシミュレーションで、2006年のゴードンベル(ピーク性能部門Honorable Mention)を受賞した。このシステム構築は日本SGIが技術協力をしている。

今回の計算に用いたMDGRAPE-3システム全景

 ゴードンベル賞は、その年に行われた最高の高性能実用計算、最高の価格あたりの実用計算に与えられる賞。日本は過去14件受賞しており、うち6件がGRAPEファミリによるもの。

 今回実行したシミュレーションは、酵母菌のプリオンタンパク質と呼ばれている「Sup35」に由来するペプチド(アミノ酸が少数つながったもの)の凝集過程をシミュレーションしたもの。この凝集過程は、アルツハイマー病、パーキンソン病、プリオン病などの重要な疾患の発症と関係があると考えられており、注目度も高い。

 このペプチドを462個水中に浮かべ、水を含めて1千7百万原子におよぶ大規模な系のシミュレーションをMDGRAPE-3システムで行い、実効性能として370テラフロップスを達成した。同システムでは、TOP500リストの基準となる「Linpackベンチマーク」を実行できないため、性能を直接比較することはできないが、この性能を汎用計算機に換算すると、その半分の185テラフロップスに相当する。

今回のシミュレーションのスナップショット(出典:理化学研究所)

 今回使ったシステムは、理研の開発した分子動力学シミュレーション専用計算ボード「MDGRAPE-3」を400枚/4778チップ(22個が不良のため)に、デュアルコア インテル Xeonプロセッサ 5150番台を320コア搭載した並列クラスタ(サーバ80台構成、うち16台はSGI Altix XE)と、Xeon 3.2GHzを40コア搭載した並列クラスタ(サーバ20台構成)を接続した構成。

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