涙あふれる 管理者デビューした“あの日”女性システム管理者の憂鬱(3/4 ページ)

» 2006年12月18日 08時00分 公開
[高橋美樹,ITmedia]

わたし:「はい、今日から引継ぎ開始の予定でしたので、まだ何も聞いておりません」

総務担当:「ここの拠点のデータが入っているフォルダの名前です。大事なデータはみんなそこに保存して共有しているので、つながらないと困るんです。直せますか?」

 総務担当の目には、この新人大丈夫だろうか、という疑いの色がはっきりと浮かんでいた。このままでは、わたしの会社に対する親会社からの信用を損ないかねない。この場では「わたしだって普通の状況なら楽勝だけど、今の状況はいくらなんでも情報が不足し過ぎている」と態度で示すことにした。

わたし:「サーバ名はご存知ないでしょうか? それかシステム構成を記録した管理簿とか」

総務担当:「サーバ名? 知らないなあ。管理簿なんて聞いたことないし」

 万事休す。Aさんが一人で仕切っているその拠点では、サーバのことを知る担当者はいないようだった。とりあえず、片っ端からサーバのマウスを動かし、画面に浮かび上がるデスクトップを確認した。

 画面ロックされていないものが2つあった。サーバ名を確認すると2つともFSという文字が含まれており、どうやらファイルサーバのようだ。ブルースクリーンにもなっておらず、IPアドレスもとれている。エクスプローラから「××支店」フォルダがネットワーク共有されているサーバを突き止め、そこからデフォルトゲートウェイにpingを打ってみた。

 レスポンスは正常に返ってくる。サーバ側からはネットワークが利用できるようだ。LANケーブルでも挿し直してみるか、と机の下にもぐってみた。すると、6台のサーバのLANケーブルやモニタケーブル、電源ケーブルは毛糸玉のように絡み合っている。どうにかLANケーブルにたどりつき、挿し直してみたところで、サーバから再度ネットワーク利用ができることを確認し、クライアント側の反応を見てもらうことにした。

わたし:「今、サーバ側からはネットワークが利用できることを確認しました。PC側からサーバを見たいのですが」

総務担当:「サーバは大丈夫ですか、そうですか」

総務担当の顔が一瞬明るく輝いた。「サーバが分かるなら信用しても大丈夫か」。そんな総務担当の安堵の空気が伝わってくる。

総務担当:「じゃあ僕のPCを使っていいですよ。これが××支店フォルダです」

 急に協力的になった。

わたし:「あ、ありがとうございます」

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