Linuxファイルマネジャーの比較検討Linux Hacks(2/2 ページ)

» 2006年12月22日 09時00分 公開
[Bruce-Byfield,Open Tech Press]
SourceForge.JP Magazine
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デスクトップファイルマネジャー

 大部分のユーザーに馴染みがあるのは、デスクトップ環境に付随するファイルマネジャーで、KDEならKonqueror、GNOMEならNautilusということになる。あまり知られていないが、特別にXfceのために作られたThunarは、ほかのデスクトップのユーザーから価値を認められるほど反応性に優れている。

 Konquerorが必ずしも素晴らしいといえないのは、特にアイコンの表示に関する部分で、デフォルトの設定では長いファイル名が途中までしか表示されないため、何のファイルか分からなくなることが多い。ただし、「Detailed List View」にすれば、ファイル属性の一覧が表示される。数ギガバイトのファイル転送がためらわれるときには、これを使うといいだろう。また、Konquerorにおけるキー割り当ての拡張性の高さは、多くの人が認めている。しかし、Konquerorが大きな強みを発揮するのは、ファイルマネジャーとしてではなく、Webブラウザおよびファイルビューアとして用いられるときだ。

 いずれにせよ、当初からバグが多く、品質がなかなか向上しなかったNautilusに対してのKonquerorの優位性は変わらない。その安定性の低さはもう問題にはなっていないが、Nautilusでは初期のころのリリースから、スペイシャル表示(フォルダ参照時に新規ウインドウを開くモード)がデフォルトになっている。この表示モードは、平均的なユーザーによるハードディスクの内容表示を簡素化するもので、アイコンで選択できるものとしてはカレントユーザーのデスクトップとホームディレクトリしか表示されない。その上、この画面では、コンピューティングの初期のころからファイルマネジャーの重要な機能だったディレクトリのツリー表示が、不自然なことにウインドウ左下のコンボボックスで行なわれるようになっている。Konquerorと同様に、Nautilusもファイルビューアとしては役に立つが、ファイルマネジャーとして許容できるのは、ブラウザモードでの使用時のみだ。ブラウザモードではディレクトリツリーが1ペインで表示されるが、メニューから「System Tools」->「File Browser」と選択しなければ使えない。しかし、ブラウザモードでも、デフォルトの表示はホームディレクトリになっていて、ファイルシステム全体のディレクトリツリーは別の領域に表示される。

 全般的にファイルマネジャーの役割がファイル操作を中心としたものではなくなっているため、多くのユーザーはKonquerorかNautilusがあれば、それほど不満なくやっていけるだろう。だがそれでも、代わりになるものは存在する。

 こうした代替アプリの1つがDolphinというKDEアプリケーションで、最新のバージョンは0.70となっている。Dolphinはファイル管理だけに注目しており、KonquerorやNautilusのようにメニューとツールバーを雑然とさせるそのほかの用途にはほとんど対応していない。こうした割り切りの効果は、Dolphinによるファイル転送処理の速度と能力に表れている。今のところツリー表示の機能はないが、F9キーを押して分割表示にした後、どちらかのペインで表示モードを「Preview」にすることで、何とか間に合わせることはできる。

 デスクトップ向けのファイルマネジャーの中でも、群を抜いて期待度が高いのが、Krusaderと呼ばれるKDEアプリケーションだ。ファンクションキーが使えるのと、必要に応じて外部アプリケーションを呼び出せることから、Krusaderは、現在主流になっているファイルマネジャーよりもむしろNorton Commanderクローンの直系アプリに近いといえるだろう。アーカイブの検索、各種フォーマットに対応したファイル圧縮、暗号化、別ウインドウでのディスク使用量のチャート表示といった機能を備えたKrusaderは、現状のデスクトップ向けの非常に強力なファイルマネジャーである。欠点は、あまりに多くの機能が「Useraction」メニューに押し込まれていることだ。またユーザーによっては、選択したファイルが既存のペインではなく別ウインドウに表示される点が気に入らないという人もいる。

ファイルマネジャーの選定

 ファイルマネジャーの選定は、きわめて個人的な判断で行われる。コマンドライン版の場合、おそらく大半のユーザーにとっては、短期間で習得できる Midnight Commanderが最も適しているだろう。汎用ファイルマネジャーの方は、Linux以外のUNIXライクなOSのころから慣れ親しんできたユーザーでない限り、あまり使う人はいないはずだ。また、最近のファイルマネジャーの中では、Konquerorが最も優秀で、そのほかの点ではGNOMEに傾倒しているユーザーも、主としてKonqueror目当てにわざわざKDEをインストールするほどだ。

 ただし、常にファイルマネジャーに頼ってきた人は、とりあえずKrusaderを試してみるとよい。以前のファイルマネジャーに備わっていた集中化された機能と、現在のアプリケーションの外観とを組み合わせたKrusaderは、さきほど紹介したように非常に完成度の高いファイルマネジャーだ。

 何を重視するかによって、ほかのものに決めることもあるかもしれないが、ファイルマネジャーには、時間をかけてじっくりと検討するだけの価値がある。多くのユーザーにとって、ファイルマネジャーの選定は、開発者にとってのエディタの選定と同じくらい重要なことである。また、ファイルマネジャーはファイル整理に必須のものではないが、適切なものを選べばファイルの整理にも役立つはずだ。

Bruce Byfield氏はセミナーのデザイナー兼インストラクターで、NewsForge、Linux.com、IT Manager's Journalに定期的に寄稿しているコンピュータジャーナリストでもある。


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