Vistaから見るWeb2.0Windows Liveが魅せる次世代マッシュアップ(1/2 ページ)

Windows Vistaの登場と前後して登場した“ガジェット”。デスクトップからさまざまな情報へアクセスできる魅力は、先の何へとつながって行くのだろうか。

» 2007年03月21日 14時02分 公開
[森川拓男,ITmedia]

ガジェットが注目されるWeb事情とは

 Windows Vistaの登場と前後して、Windowsの世界にも「ガジェット」が登場してきた。まずは、Windows LiveスペースでのLiveガジェット、そしてVistaのサイドバーガジェットである。

 ガジェットはその名の通り「道具」。例えば時計であったり電卓であったりさまざまだ。そのような小さなアイテムを、Web上のスペースに自由に配置したり、Windowsのサイドバーに配置したりして利用する。Mac OS Xにはこのようなガジェットが存在していたが、Windowsにも標準搭載されたわけである。

 さらに最新の情勢を見てみれば、米Adobe Systemsによるガジェットともいえるリッチインターネットアプリケーション(RIA)プラットフォーム「Apollo」の公開α版が開発者向けにリリースされた(関連記事)。これは、WindowsとMac OS向けに提供されるもので、HTML、JavaScript、Ajax、AdobeのFlashとFlexを利用して、デスクトップ上でRIAを構築、配備できるようにするという。正式版公開は2007年後半予定とか。

 しかし、単に時計や電卓などといったアプリケーションを使うだけでは注目されるわけはない。ガジェットがその真価を発揮するのは、最近のWeb事情と密接な関係があることは見逃せない。

 その一端は、2006年をピークに言葉が独り歩きしがちだった「Web2.0」がキーワードの1つだ(関連記事)。このWeb2.0を構成する重要な要素として利用されてきているのが、Web APIを利用したWebサービスだ。

付加価値はWeb APIによる利用範囲の広がりへ

 Webサービスの拡大は、Webの世界を変えてきた。Webサービスは、そのサービス内のデータを、Web APIを使って外部に開放することができる。これによってユーザーは、Web APIによって開放されたデータを利用して、独自のWebアプリケーションを開発することが可能なのだ。

 Webサービスといえば、筆者が真っ先に思い浮かべるのは、AmazonのWebサービス。Amazonアソシエイトリンク作成補助ツールや、蔵書管理の入力を軽減するためにAmazonからデータを持ってくるソフトなど、AmazonのWebサービスを利用したWebサイトやアプリケーションが数多く作られている。中には、Amazonから必要な情報だけを取り込んで独自サイトを作っているところもある。

 数年前まではAmazon程度しか一般公開されたWebサービスが見当たらなかったが、その後、あらゆるサイトでWeb APIの公開が進んできた。いまでは自分のブログやWebサイトに地図を表示させたり、動画を表示したりなど情報の連携が容易に実現できるようになっている。

 これが意味するものは、Web2.0的と称するサービス展開を行う企業にとって、Webサービスを利用したインタラクティブな見せ方は必須となっているということだ。中でも、ブログやSNSなどと連動させるなどといった形のものが増えているように思う。期間限定のキャンペーンサイトでも、ブログパーツを提供するようになっているのを見ても明らかだ。

 そして、このWebサービスはガジェットと組み合わせることで、さらに新しい展開を迎えようとしている。

 まずマイクロソフトが提供したのは、Windows Liveというプラットフォーム、そして、ガジェットを配置するスペースの提供だ。そして、Windows Live Spaces(スペース)と呼ばれるブログサービスも挙げられる。さらに、Vistaのデスクトップ上には、Windows Vistaのサイドバーガジェットが加わった。これらの領域で利用できるガジェットは、前述の時計やカレンダーなどといったアクセサリだけでなく、Webサービスを利用したさまざまな情報を自らのLiveスペースやデスクトップに表示させることができるのだ。

 しかし、こういうガジェットは、物は小さくても作るのは大変だというのが“開発する”ことの先入観だろう。特に利便性が高いならば、なおさら――普通ならば、そう考えてしまうかもしれない。筆者もそうだった。

 しかし、Liveガジェットを始めとするガジェットは違った。決して難しくなかったのだ。

筆者にも理解できたLiveガジェット

 これまで、オンライン・ムックPlus「Windows Liveが魅せる次世代マッシュアップ」の中で、幾つかのガジェット事例を紹介してきた。

 その中で見てきたのは、Liveガジェットが、Webページ制作のためのテクニック――JavaScriptとCSSの知識――さえ持っていれば、比較的簡単に開発可能であるということだ。

 かくいう筆者自身は、過去の仕事で多少のプログラミング経験はあるものの、開発言語ではほとんど経験がない。ただし、Webページ自体は自らで作り始めてから10年以上であり、中ではJavaScriptやCSSも利用している。そうとはいえ、それらのスクリプトの多くは一から作ったものではなく、サンプル集などを参考にして手を加えたものだ。

 今回、実際に幾つかのLiveガジェットを見て感じたのは、その程度の知識しかない私であっても、概要が理解できたという点だ。

 実際のLiveガジェットを見て、「自分にはとてもこんなものは作れない」と思ってしまうかもしれない。しかし、実際にソースを眺めて見ると、そう複雑なことは指定なかったりするのだ。難しいとすればJavaScriptで利用するコマンドといったものだろうが、それらはリファレンス(解説書)などを見ながらでも理解していくことは、決して難しいことではないはずだ。

 実際にガジェットを触りながらソースを見て、その上でプログラム構造を理解し、少しずつ手を加えて改造していく――これは、これまで幾つか見てきた事例でも触れたことだが、まずはここからでもよいではないだろうか。最初から難しいと拒否せずに、チャレンジすることからスタートしよう。この春、筆者もLiveガジェット開発に挑戦してみようと思う。

 ガジェット開発の敷居が低くなること――それは、これまで一方通行だったアプリケーション開発者と利用者とが、双方向になることにつながる。これこそが、マイクロソフトがガジェットに力を入れてきた理由ではないだろうか。

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