ツールだけじゃムリ? 90万のファイル検索を実現した東京ガスよく効くエンタープライズサーチの処方箋(3/3 ページ)

» 2007年03月23日 08時00分 公開
[岡崎勝己(ロビンソン),ITmedia]
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2007年問題も解決する知識基盤に

 エネルギー生産部では2006年3月からCBの導入に着手し、同10月には本社と各工場のネットワークを従来の256kbpsから6〜100Mbpsに大幅に増速するなど、ネットワークの増強を含めてすべての作業を完了した。現在、毎月の検索回数が約2500以上に達し、着々と利用が進んでいる。社内アンケートによると、7割以上の社員から情報収集の効率化に効果があったとの声が寄せられている。

 もっとも、KMが業務に着実に根づきつつあるのも、ツールの整備以外の各種の施策があったればこそだ。CBによる検索精度を高めるために、電子文書作成時のルールを新しく作成したのは、その一例である。また、膨大な紙文書の表題と保管場所についてまとめたExcelファイルによる台帳を作成して共有することで、あらゆる情報をCBで検索できる環境を整備するとともに、重要度を踏まえ、紙文書の電子化も着々と進めた。

 一方で、KMを開始するに当たって、その重要性とツールの利用方法を周知させるために川端氏がすべての工場を訪れ、のべ50回以上もの説明会を開催。また、業務としてKMを徹底させるために、その推進に向けた業務目標を社員や工場レベルで掲げるといった活動も行っている。

 「情報共有のための取り組みは、各社員の自主性に任せていてはなかなか徹底を図りにくい部類のもの。ツールの導入のみならず、情報活用を支援するためのさまざまな施策を行ったことが、取り組みの活性化につながったのではないか。また、エネルギー生産本部ではKMを2003年から推進してきたが、その過程で社内のファイルサーバ内に格納する情報の管理手法を統一したことも、今回の取り組みを進める上で大きな効果があった」(川端氏)

 川端氏は今後、ログ解析機能を活用して、頻繁に検索対象となっている文書や検索手法のコツを公表することで、エネルギー生産部におけるCBの活用度をさらに上げていく計画だという。ひいては、2007年問題で指摘されるように、定年退職によってこれまでの業務を通じて蓄積された情報が失われてしまうのを防止することができる。エネルギー生産本部にとって、KMの仕組みとCBは業務を進める上での知識の基盤といえる存在となりつつある。

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