最終回 ポケベルが残したもの緊急特集「さらばポケベル」(1/2 ページ)

移動通信サービスの先駆けとして一時代を築いたポケベル。今はケータイが時代をリードする。縮小していったポケベルは失敗だったのか?ケータイに受け継がれたものは何か?そこから移動通信の未来を探りたい。

» 2007年03月30日 07時30分 公開
[村田嘉利,ITmedia]

 これまで、ポケベルに関する「ビジネス」「文化」「コンピュータとの関係」についての側面をケータイと対比させながら見てきた。ケータイとポケベルが、非常に似た進化を遂げてきたことをご理解いただけと思う。

 しかし、決定的な違いがある。ポケベルがメッセージを受信するだけの「1-way」の通信システムなのに対して、ケータイは発信も受信もできる「2-way」も通信システムだという点だ。

 人類は常に自由度を高めるためにシステムの改善、あるいは新しいシステムを開発してきた歴史がある。有線電話の場所的、時間的な制約から解放されることを目指して携帯電話システムが開発された。

 そして、携帯電話自体も単なる通話利用から、メールやWeb端末、ついにはミュージックプレーヤーになるなど、利用形態が多様化した。それらに対応するため、通信速度の向上が常に図られている。

 1-wayシステムのポケベルは、2-wayシステムのケータイに置き換えられる運命にあったといえる。別の言い方をすれば、ポケベルが進化した形がケータイの「SMS」(ショートメッセージサービス)やインターネットメールだとも言える。

 日本では注目されなかったが、米国ではポケベルの2-way化が研究開発されていた。FCC(連邦通信委員会)は、「高度ページング」「応答確認ページング」「双方向データメッセージング」などの狭帯域PCS(Narrow band Personal Communication Service)の入札を1994年に実施し、13社に事業免許を与えている。

 一方、日本でも狭帯域PCSの導入が検討されたが、設備コストの高さとポケベル利用者の減少から現実化には至らなかった。1994年からケータイユーザーが急激に伸び始めたことを考えると、「2-way Pager」(2-wayポケベル)が導入されても、ビジネス的に成功する可能性は低かったように思われる。

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