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» 2007年03月30日 09時00分 公開

緊急特集「さらばポケベル」:番外編 ポケベルが鳴りすぎて(後) (3/3)

[樋口由美子,ITmedia]
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四次婆とわたし

 2つめは私が一番に好きだったコンテンツで、テレメッセージが提供していた「四次婆とベル友」というものだ。タイトルだけでは中身がなんだかさっぱり分からないが、これは「四次婆」という、ポケベル全盛期に女子中学生の間で噂になっていた架空のキャラクターだ。

 午後4時4分4秒に、学校の教室で黒板に直径1mの円を書いて右手をかざすと、4次元の世界に行くことができる。そして、4次元の住人の四次婆と遊ぶことができるという、非常にシュールなコンセプトのコンテンツだった。

 四次婆とは「ベル友」になることができた。ユーザーは、電話から四次婆(コンテンツ運営会社)にメッセージを送る。このメッセージを運営サイドが受信する。ユーザーにメッセージを返信するという仕組みだ。ここでは、恋愛相談に始まり、テレビドラマの話題や学校で起きた出来事、四次婆が住んでいる4次元についての質問など、あらゆるメッセージがユーザーから送られてきた。

 私はこの頃、すでにプライベートではポケベルを卒業していたが、自分が四次婆になりきってユーザーとコミュニケーションをする時間は、毎日の仕事の中で一番に好きだった。大抵は他愛のない会話ばかりで、「私はDA PUMPが好き。特にISSA!ババアは?」なんていうメッセージが来ると、「ババアはYUKINARI派だね。ちなみにISSAのお父さんはプロゴルファーらしいよ」とか、のんきな返信をしていた。

 運営者とユーザーという関係でも、やはりベル友として大切な関係だ。毎日メッセージをやり取りしているから、ユーザーはちょっとした変化にも敏感だった。こちらが何らかの理由でちょっと元気がないような感じだと、「ババアダイジョウブ、ナンカアッタノ?ゲンキダシテ!!」なんていうメッセージが送られてきて、逆に私が元気付けられて、涙が流れるような時もあった。

 きちんと調べてはいないのだが、今のケータイでもポケベル式の文字入力はできるのだろうか。私は、ここ10年近くモバイル関係の仕事をしているので、ポケベル式で素早く文字入力ができるのが、ちょっとした自慢だった。しかし後輩から、「さすがポケベル世代……」と言われて、心が揺れたことは今でも忘れない。

 私は、モバイルだからできる楽しいサービスの幾つかを、ポケベルで初体験した。この経験は、後に自分がプロデュースするサービスでとても参考になったので、ポケベルには恩を感じている。

 私にとって、ポケベルは「可愛くて、なんとなく不器用そうで、憎めないヤツ」だった。NTTドコモがサービスを終了するので寂しいけれど、ポケベルには感謝の気持ちと「おつかれさま」と言ってあげたい。

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