W-ZERO3がノートPCに置き換わる日――ウィルコム企業力を高めるモバイルソリューション(2/3 ページ)

» 2007年04月10日 08時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]

ノートPCの替わりとなるか?W-ZERO3

ITmedia スマートフォンのW-ZERO3も国内で初めて投入されました。

土橋 実は2005年頃からAIR-EDGEサービスが頭打ちになるだろうという予感が強くありました。企業が情報漏えい対策のためにノートPCの持ち出しを厳しく管理するようになったためです。

W-ZERO3は企業のモバイル制限というハードルを乗り越えるための切り札になる

 モバイルで業務効率を高めるという意識がユーザーに広がっていたものの、それができないというのは大変なジレンマでした。それなら、携帯電話サイズながらもノートPCのように企業が使える安全な端末市場を開拓しようと、シャープさんと一緒に開発したのがW-ZERO3です。

 W-ZERO3は、高機能端末としては異例のヒット商品になりましたが、ユーザーの多くがビジネスマンや携帯電話に関心の高い一般ユーザーで、残念ながらAIR-EDGEほど企業への導入が進んでいません。

 ノートPCと異なり、スマートフォンは「Windows Mobile」という新しいOSを利用するため、これに対応したアプリケーションが不足していたのが原因ですね。当社ではパートナー企業とWindows Mobile対応のアプリケーション開発を進めていますが、ようやくバリエーションが広がり、W-ZERO3の企業導入が進み始めたという状況です。

ITmedia 2006年からキャリア各社が相次いでスマートフォンを投入していますが、ウィルコムの優位性が揺らぐ危機感はありますか?

土橋 そのようなことはありません。それよりもライバルが参入して競争環境になる方が、スマートフォン市場にとって良い傾向になるはず。誇張ではありませんが、当社はこれまでにスマートフォンの競争で負けたことがありません。

 しかし「負け」も必要だと思っています。当社よりも他社のどこが優れているのかを徹底的に研究して、次には勝つ。そうでないと当社のサービスだけでなく、市場も良くはなりません。競争環境でさまざまなプロダクトが登場し、ユーザーの選択肢が広がることが大事でしょう。当社の目標は、市場が「スマートフォンを導入するか否か」という状態ではなく、「スマートフォンをどのように使うか」という機運になってもらうことにあります。

 企業がノートPCの持ち出しを禁止して、結果的に改善された効率性や生産性が再び低下するのは望ましいことではありません。一方でスマートフォンならノートPCより導入コストを抑えられるので、多くの社員に持たせて組織全体の効率性を高めることができます。もちろんスマートフォンで何でもできる訳ではありませんが、できるようにサービス対応を進めています。4月16日から始めるASPのグループウェア同期サービスもその1つになります。

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