チームの創造性をフル回転させる「企画マネジメント」は、簡単にできるものではない。しかし、マネジャー自身がアイデアをつぶしてしまう「キラー上司」になることを戒め、さまざまな角度から部下を刺激しつづけることで、次第にそのレベルは上がってくる。
本記事の関連コンテンツは、オンライン・ムック「企画創出のためのマネジメント力」でご覧になれます
創造型組織の要件として(1)「創造主義」を組織に浸透させる(2)多様な「共創関係」を組む(3)「創造特区」を設ける、という3つを挙げたが、これらはあくまでも企業の経営者側のマネジメントに関係したものである。参照記事
次は部署やプロジェクトのリーダーたちが、組織・メンバーの創造性をいかに引き出すか、そのポイントを探ってみよう。
創造的リーダーの条件とはどんなものか、創造開発研究所所長の高橋誠氏は以下の8つを挙げる。
(1)課題発見力 組織にとっていま何が課題なのか、明確に認識し定義づけができ、それをメンバーに伝えられる力があること。
(2)ゼネラリスト 幅広い教養があり、さまざまな角度から物事を考察することができること。
(3)スペシャリスト ゼネラリストであると同時にできれば二つ以上の専門分野を持つスペシャリストであること。
(4)公平な指導力 メンバーを公平に扱うことができる力。これがなければメンバーの信頼を得ることは難しく、創造性を発揮することは難しい。
(5)想像力と創造力 課題を多角的にイメージでき、発想力があること。リーダー自らに創造性がなければならない。
(6)問題解決力と実績 これまで多くの問題を解決してきた実績と経験があること。それにより部下の信頼も厚いこと。
(7)判断力 的確な判断力と素早い決断力があること。メンバーの提案したさまざまなアイデアからどれをピックアップするかなど、リーダーにとって判断力、決断力は不可欠。
(8)あくなき執念 集中力を最後まで持続し、目標に向かってメンバーをまとめる強い信念と執念があること。
「8つ全部身につけてたら、私は今ここにはいないよ」と言いたくなるのも当然。すべて兼ね備えた人は、まさに「スーパーマネジャー」である。すぐさまスーパーな人になる必要はない。これらの8つの条件の中で、比較的得意だと思われる条件、苦手だと思われる条件、それぞれをチェックしておくだけでも日常の会議が変ってくるのではないか。
判断力、決断力については自信があるが、果たして公平な指導力は発揮できたかどうか。自分の判断に対して、きちんとした説明ができているかどうかがポイントになる。また、公平に対処してきたつもりだが、果たして決断力は発揮できていたかどうか。チームの雰囲気に気を使いすぎて、リーダーとしてはいま一つ頼りないと見られていては、アイデアや企画を搾り出すことはできない。「あくなき執念」を部下に持たせることは不可能だ。
Copyright© 2011 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.