“IT頼み”は混乱を招く?――年金問題の裏にあるものオルタナブログ通信(4/4 ページ)

» 2007年06月23日 09時42分 公開
[森川拓男,ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

今度は年金カードですか?

 なかなか進展しない年金問題に関する話題も、多くのオルタナティブ・ブロガーが取り上げていた。

 その中で特に気になったのは、北添裕己氏「トラパパ@TORAPAPA」の、何で「IT頼み」なんですかね・・・??というエントリー。

 今回の問題はすべて“IT化”が関連していることは間違いない。年金データをコンピュータで一元管理しようという中で、紙の台帳から転記する際にミスをしてしまったり、入力し忘れたりなどということが積み重なり、現在のいわゆる「消えた年金」といった状況が生まれたからだ。

 そもそもPCは、使い方が正しいことを前提とするため、決して万能ではない。北添氏も指摘するように、IT化というのは効率化の手段に過ぎない。これに劇的な効果を上げるためには、入念な設計・開発、そして丁寧かつ網羅的な要件定義能力が必要となるわけだ。

 その上で、元となるデータがしっかりしていること最低限満たすべきところ。今回の年金問題では、そのデータがきちんと入力されていなかったことが、すべての元凶だった。元台帳が残されているものは最終的にそこまで照合するというが、市区町村によっては元台帳を廃棄してしまったとところもあるという。これでは照合すらできない。

 このことに関しては、栗原潔氏「栗原潔のテクノロジー時評Ver2」年金問題をデータ品質問題として考えるというエントリーでも考察されており、コメントでも有意義なやり取りがある。年金問題でもやもやしている人は、ぜひ目を通してほしいと思う。

 こんな状況にもかかわらず、先ごろ新たな試みを行おうという報道があった。谷川耕一氏「むささびの視線」今度は年金カードですか!?として取り上げた、ICチップ入りの年金カードを発行するというものである。

 現状のコンピュータデータだけでもおかしいことになっているにもかかわらず、それをきちんとしないうちに新たなIT化の流れである。これはいったいどういうことか。谷川氏が言うように、仮にこの年金カードで、電子マネーの年金が受け取れて、コンビニや駅などで利用できるというのならば、話は違うかもしれない。しかし、その可能性は、現状ではほとんどないだろう。あくまでも年金状況などをすぐに確認できるようにするためのカードなのだ。

 いや、谷川氏がこのエントリーを書いた時からさらに進んで、22日に政府・与党が検討を始めたのは、年金・医療保険・介護保険を一元的に管理する「社会保障番号」を導入し、ICチップ入りの「国民サービスカード」(仮称)を全国民に配布するというものになっている。これは参院選の公約に盛り込まれるというが、最終的には住基ネットと連携させるともしているのが注目だ。しかし、稚拙に事を急ぐと「消えた年金」の傷をさらに深めることになりかねない。

 これから、参院選を前にして、与野党共に、さまざまな展開が予想される。どういう動きがあるのか、我々有権者がしっかりと監視し、投票行動に結び付けなければならないだろう。

歩きながらパソコンってどうですか

 それにしても、ずっとパソコンの前に座って仕事をしていると、運動不足になりがちである。かといって、なかなか本格的な運動ができない――そうお嘆きの皆さんに朗報がある。

 加山恵美氏「C'est la vie」歩きながらパソコンってどうですかというエントリーが投稿されたのだ。これはテレビのニュースを紹介したものだが、何と、パソコンとウォーキングマシーンが一体化されているのである。つまり、歩きながらパソコンができる、というわけだ。

 筆者は最近、運動不足解消のために、多少のウォーキングをするようにしている。しかし、なかなか毎日はできず、結局は買い物などのときに、少し遠まわりしたりする程度になってしまっているのが現実だ。仮に自分のパソコンがこれだったら、仕事をしながらウォーキングもでき、一石二鳥だろうか。

 ただ、加山氏も指摘しているように、騒音も気になるところ。こういう機具は、意外と音や振動を出すものなので、家庭に置いた場合は気になってしまう。集合住宅なら尚更だ。まあ、その前に価格が個人が気軽に買えるレベルではないだろうが。

 それよりも、このエントリーに付けられたコメントにあるように、例えばトイレを、階段を使って別フロアのものを使うなど、やはり自分で歩くということをするのが、現実的だろうか。

 以上、6月14日から6月20日にかけてのオルタナティブ・ブログに投稿されたエントリーから、筆者が気になったものをピックアップしてみた。

 オルタナティブ・ブログには、数多くの興味深いエントリーが投稿されているが、ここで取り上げたのは、あくまでもその中のごく一部に過ぎない。泣く泣くカットしたエントリーの数のほうが圧倒的に多いのだ。ぜひ、本記事を通して興味を持つものがあったら、それぞれのブロガーの本投稿も読んでほしいと思う。

 オルタナティブ・ブログを読む際の参考としては、まず「ブロガー一覧」から見ることをオススメしたい。各ブロガーの最新投稿タイトルから、自分の興味があるエントリーを探すことができるのだ。うまくすればそこからお気に入りブロガーを見付けることもできるだろう。また、「最新投稿一覧」もRSS配信されているので、オルタナティブ・ブログ全体の最新投稿記事をRSSリーダーなどでチェックするのもいいかもしれない。

 ITの今を知る、新たな発見があるに違いない。

前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ