“IT頼み”は混乱を招く？――年金問題の裏にあるもの：オルタナブログ通信（1/4 ページ）

バズワードは、やがて本質を問われる時期に差し掛かるもの。Web2.0もまた、この1つだろう。コンシューマ発から企業への適用例へ。ほかにも、先週に続き年金問題とITについても多く問われた。その真意についてオルタナブロガーが語る。

[森川拓男，ITmedia]

Web2.0は使われない

　「Web2.0」という言葉は、マーケティング先行で使われる傾向が多いのではないだろうか。IT業界では主にバズワードとして使われる傾向にあるが、その真意を定義することが難しいのも理由の1つだ。その一方で、映画ダイ・ハードでは、邦題として「ダイ・ハード4.0」が使われるなど、IT業界を超えて波紋を投げかけているのも確かだ。

　そして、ここに面白いニュースがあった。石坂渉氏「Web屋さんのココロえ」のWeb2.0は使われないで取り上げられた日経産業新聞の調査結果だ。「Web2.0的を自社で利用する予定があるか？」という質問に対し、半分以上の企業が「ない」と答えたというのだ。

　確かに、Web2.0を高らかに叫ぶのは、インターネット業界がほとんどであり、多くの一般企業では実態がよく分からない、という意見が大半かもしれない。

　そしてそれと同時に筆者は、石坂氏が指摘したことに思わず「その通り」と賛同せざるを得なかった。石坂氏が「Web2.0の根っこにある」とする検索のことである。例えばGoogleなどのページ検索を利用する時、読者はこんなことを感じたことはないだろうか？　調べたいこととは無関係なことが表示されてしまい、肝心なことが調べられずに埋没されていることを。

　石坂氏いわく、「情報過多で、しかも、偏りの度合いがとても多い」のがWeb2.0の一翼を担っている検索とするならば、現状のGoogleなどの検索エンジンが変わっていくか？　あるいはそれに代わるものが出てこなければ、真の意味で一般に広がることが難しいのかもしれない。

　Googleに関しては、「Googleボイコット運動」というものも興味深かったが、後述する。

　もちろん、Web2.0を象徴するのは何もGoogleなどの検索だけではない。最近ではYouTubeなどの動画投稿サイトや、iTunes Storeなども、いま最もスポットが当たっている分野だろうか。そのYouTubeもついに日本語サイトが登場するなど、他言語への対応が始まっている。

　iTunes Storeでいえば、松尾公也氏「CloseBox and OpenPod」のヤフーとの提携で分かったiTunes Storeの「数字」に興味深いことが書かれていた。iTunes StoreがYahoo!と連携することで、日本のiTunes Storeで購入可能な楽曲の正確な数が分かるというのだ。正直なところ、私が聞きたいと思う楽曲の多くはiTunes Storeで販売されていないが、意外な曲が入っているので軽視できない。iPodなどのデジタルオーディオプレーヤーを使っていない筆者であるが、そのスタイルも相まってかiTunes Storeを、たまに利用しているのだ。正直、ジャンル分けが微妙なのでは、と思う曲があるのも事実であるが。

　また、Web2.0企業の一つAmazon.co.jpでも面白い動きがあった。谷川耕一氏「むささびの視線」に投稿されたAmazonで憲法改正のアンケートだ。単なるインターネット書店から、あらゆるものを販売するデパートの様相を体してきたAmazon.co.jpだが、憲法改正に関するアンケートまで始まったのだ（関連記事）。

　Amazon.co.jpには数多くのユーザーが集まる。その集まったユーザーを活用し、メディア的な機能を持たせ始めているのだろうと谷川氏は指摘する。確かにその通りであり、これがある意味、Web2.0の意図する本来の形ではないだろうか。

14〜20日のブログから見えてきたものとは

　ITmediaのビジネス・ブログメディア「オルタナティブ・ブログ」には、120組を越えるオルタナティブ・ブロガーが参加している。

　「オルタナブログ通信」は、このオルタナティブ・ブログで1週間に投稿された内容から注目すべきものをピックアップし、ナビゲーションする目的がある。読者がオルタナティブ・ブログを読む際の参考にしてもらえれば幸いだ。

　今回は、6月14日〜6月20日に投稿されたエントリーの中から、冒頭で取り上げたWeb2.0のほか、Googleボイコット運動、ブログパーツ、ケータイ・フォーマット、ITから見る年金問題、歩きながらパソコンといったキーワードから筆者の視点で取り上げてみた。

6月14日〜6月20日を最新としたオルタナティブ・ブログのステータス