サイバー犯罪の損害は70億ドルに

Consumer Reportsの調査では、消費者の4人に1人がサイバー犯罪被害者になる可能性があり、17%がウイルス対策ソフトをインストールしていないことが示された。

» 2007年08月08日 14時31分 公開
[Brian Prince,eWEEK]
eWEEK

 インターネット詐欺やインターネット攻撃の被害者が被った金銭的損害は70億ドルを超える――ある調査がこのように報告している。

 この数字はConsumer Reports誌の2007年「State of the Net」調査が、米消費者が過去2年間でウイルス、スパイウェア、フィッシング詐欺によって失った金額を推定したものだ。この調査報告書によると、消費者は4人に1人の確率でサイバー犯罪被害者になる可能性がある。昨年と比べると、この確率はわずかに減少しているという。

 同誌およびConsumerReports.orgは、消費者にとって公正で安全な市場を実現することを使命とする独立系非営利団体、米消費者連盟が発行する媒体。今回の調査はインターネット接続を有する2000世帯以上を対象に、Consumer Reports National Research Centerが実施した。

 セキュリティ専門家やアナリストは、この結果は意外ではないと語る。

 「最近の統計値は、10のWebサイトのうち1つがマルウェアに感染していることを示唆している」とForrester Researchのアナリスト、チェンシ・ワン氏は言う。「従って、無防備な――十分な保護策を導入していない――消費者が、インターネット閲覧の際にマルウェアを掲載しているWebサイトに出くわす可能性は高い」

 今回の調査では、ウイルスへの感染率は昨年とほぼ変わらないことが示された。Consumer Reportsは脅威が複雑化していることから、これを消費者とソフトベンダーの進歩の印だとしている。この調査では回答者の38%が過去2年間にウイルスに感染したことがあると報告した。ウイルス対策ソフトをインストールしていない人は17%だった。

 過去6カ月間にスパイウェアに感染したことがあると回答したのは34%。感染率こそ下がったものの、まだ3人に1人が感染する可能性があり、11人に1人が深刻な被害を受ける可能性がある。

 回答者の8%は、過去2年間にフィッシングメールに反応したことがあると答えた。ここ2年、この割合は変わっていない。しかしフィッシングの損害額は比較的高いと言え、被害額の中央値は200ドルとなっている。

 Websenseのセキュリティ調査責任者ダン・ハバード氏は、ユーザーがサイバー攻撃の被害者になる可能性は25%以上だとし、電子メールアカウントを持っているほとんどの人がスパムとフィッシング詐欺にさらされていると考えている。

 特に子供は攻撃に遭いやすい。この調査によると、子供はMySpaceやFacebookなどのソーシャルネットワークで危険にさらされているという。未成年の子供を持つ世帯への調査では、MySpaceに登録している子供のうち13%が、登録可能な年齢である14歳よりも幼かった。3%は10歳未満だった。

 「ホームユーザーは通常、セキュリティ脅威や自衛策についてそれほど詳しいわけではない。そのため彼らの大半は、Webの脅威から自分を守るための適切なツールを導入していない」(ワン氏)

 企業ユーザーとは違って、セキュリティの知識をホームユーザーに広められる確実な経路もないと同氏は指摘する。

 「消費者に対応するオンライン事業を運営している組織は、インターネットの脅威について顧客を啓発する対策をもっと取るべきだし、取れるはずだ。そうした企業は顧客に向けてセキュリティツールを推進し、新種の脅威やセキュリティ意識全般についてユーザーを教育できる。最終的には、ユーザーの意識レベルを上げれば、詐欺を減らし、事業コストを抑える役に立つ」(同氏)

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