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» 2007年09月01日 00時05分 UPDATE

Googleが世の中を席巻する組織であり続けるのはなぜか

企業が抱える永遠の課題ともいえる組織の活性化。Googleの取り組みを見てみると、活性化のヒントが見えてきた。人材、環境、キーになるのは何か……。

[藤村能光,ITmedia]

 今週は1位3位を「rookit」に関する記事が占めた。また、女性システム管理者の憂鬱を描いた4位8位の記事や、5位6位などコラム形式の記事が、依然として人気を博している。

 さて、8月29日に“ホンネ”の見える化で組織を活性化という記事が掲載された。自分が属している組織はどういう状態にあるのか、活性化させるにはどうすればいいかを考えながら読むとおもしろい。組織の活性化には、主にトップダウンとボトムアップによる2通りの働きかけがあるといえる。

 ここで、アメリカの社会学者リチャード・フロリダ教授が提唱した「クリエイティブ・クラス」という概念を紹介しよう。経済を牽引する要素に、「創造性(クリエイティビティ)」を挙げ、それを生み出す人たちの階層をクリエイティブ・クラスと呼んだ。具体的には、科学者、エンジニア、芸術家、文化創造者、経営者、専門家、アーティストなどを指す。

 フロリダ教授は、クリエイティブを導き出すために重要な指標として、「寛容性(tolerance)」を挙げている。フロリダ氏が行った調査によると、ゲイやレズビアン、クリエイターやアーティストなど、人種、性別、職業の壁を越えたさまざまな人が集まる場所は、クリエイティブを生み出す可能性が高いという。場所自体があらゆるの人を受け入れる寛容性を持ち、そのような場所において、人々はクリエイティブのうねりを作り出すというのだ。

 先週、Google日本法人の村上憲郎代表取締役社長の話を聞く機会があった。村上氏の話の中で、Googleが「20%ルール」を採用しているというくだりがあった。これは、1日の仕事のうち、20%はその仕事以外のことを考える時間を取るというものだ。一見すると、1日の就業時間の5分の1を自由に使用できる、出社する平日のうち、1日分が自由な時間として割り当てられているとも考えられる。だが、実はそうではない。村上氏によると、5分の1の時間は、個人がアサインされている仕事以外のアイデアをひねり出す時間なのだという。すなわち、その日の仕事を普段の1.25倍で行い、かつ残りの時間をまったく別の仕事に当てることを指す。

 またGoogleは、遊び心がふんだんに盛り込まれたオフィスでも有名だ。近年、組織の活性化と社員のモチベーションを引き出すものとして、オフィスデザインが脚光を浴びている。場所は、人々のアイデアを生み出すための1つの要素となりうる。デスクに一日中かじりついて企画を考えても、何1つアイデアが生まれなかった経験は、誰にでもあるはずだ。クリエイティブを生み出すための工夫をこらしたオフィスもある。すべては従業員のモチベーションを引き出し、新たなアイデアを生み出すための施策だ。

 Googleは、自由な時間と制約のない場所(オフィス)をトップダウンで従業員に解放することで、クリエイティビティを生み出そうとしている。寛容で自由な土台があるからこそ、Googleは世界中の人々を魅了するサービスやアイデアを世の中に送り続けることができるのではないか。もちろん、Googleが優秀な社員を雇用していることは事実だ。だがそれらの人材が、ほかの企業で力を発揮できるかどうかは分からない。だが、Googleという会社が世の中を席巻するサービスを次々と生み出し、人々を魅了していることは事実だ。Googleが備える仕事環境と、それによって引き起こされる従業員の能力が、その一因を担っていることは否定できないだろう。クリエイティブ・クラスを抱え、活性化状態を保ち続けている希有な存在として、Googleはひときわ輝きを放っている。

 Googleのやり方を取り入れよというわけではない。Googleはあくまで、トップダウン型で組織が活性化する一例にすぎない。ボトムアップによる効果も十分考えられるし、企業それぞれが活性化するベストな方法が必ずあるはずだ。

  さきほど挙げた記事の冒頭、「元気のない組織は、例えばあいさつが交わされない。逆に元気な組織は雑談も交われて騒々しい。会話の有無は組織の活力を測る1つの目安」にぎくりとした人も少なくないのではないか。自分の属している組織を活性化させようと思うのなら、トップダウン型の環境構築を待つばかりではなく、場合によっては自らがそれを作っていくということも必要だ。同僚にあいさつをする、気の合わない上司と議論をしてみる。そんな行動が、上司やトップを動かし、組織の活性化につながることだって往々にしてある。その時あなたは、クリエイティブ・クラスの一員となっているのかもしれない。

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