マクニーリ会長は「JavaでないものをJavaと呼ぶわけにはいかない」「マイクロソフトはFake Javaを作ろうとしている」などと切り出したのに続き、「現在、Javaは117社に対してライセンスされているが、そのうち1社(マイクロソフト)を除く116社については互換性の問題はない」「私が知る限り、すべてのユーザーが100%の互換性を期待しており、マイクロソフトが提供する特殊なJavaを望んでいるユーザーは一人もいない」などの言葉が続々。揚げ句の果てには「どうもマイクロソフトは、ライセンスの契約書に書かれている言葉を理解できないようだ」「閉鎖的なベンダーであるマイクロソフトが、標準化という言葉を口にするのはおこがましい」とまで言い切った。
この訴訟は、2001年6月に連邦高等裁判所が「マイクロソフトは独占的地位を不法に乱用し、サンとJavaプラットフォームに不利を招いた」として、有罪判決を下し、それを受けて、サンは損害賠償やInternet Explorer、.NetフレームワークなどへのJavaのバンドルを停止させる永久差止命令を含む独占禁止法違反の民事訴訟を、2002年3月に起こすという動きにつながっていった。
真っ向からぶつかり合ったJavaをめぐる両社の争いは熾烈化すると同時に、この当時のマクニーリ会長のマイクロソフト攻撃の猛烈ぶりは、まさに絶頂に達していたと言っていいだろう。
だが、こうした長年にわたる両社の激闘は驚くべき結末となって、突然、訪れた。2004年4月、サン・マイクロシステムズは、このJavaをめぐる訴訟をはじめとする、マイクロソフトとの訴訟問題をすべて解決し、同時に技術提携まで発表したのだ。
マイクロソフトは、サンに和解金として7億ドルを支払い、さらに過去の特許権問題については一切提訴しないことを決め、その一環として9億ドルの追加支払いを決定。また、サンが保有する技術のロイヤリティ使用料として3億5000万ドルを支払った。サンは実に、19億5000万ドルもの支払いをマイクロソフトから引き出すことに成功したのだ。
この点だけを見れば一方的なサンの勝利のようにも見えるが、経営不振に陥り、資金が底をつき始めていたサンにとって、このマイクロソフトとの和解および提携が最後の切り札だったと見る業界関係者は少なくない。
米誌へのインタビューでマクニーリ会長は「1億ドルが和解金、あとは僕の口止め料」と語ったとされるが、この言葉からも明らかなように1997年10月の100% Pure Java Initiativeの会見で見せたようなマイクロソフトに対する厳しいコメントは、これからは聞けそうにないことだけは確かである。
このコンテンツは、月刊サーバセレクト2006年1月号の記事を再編集したものです。
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